2016年2月16日(火)
主張
10〜12月期GDP
失政浮き彫りのマイナス成長
内閣府が発表した2015年10〜12月期の国内総生産(GDP)の速報値で、物価変動を除いた実質で前期比0・4%減、これが1年間続いたとして計算した年率換算で1・4%減となったことが明らかになりました。GDPのマイナス成長は15年4〜6月期以来2四半期ぶりです。7〜9月期は速報値でマイナスとなったあと確報値ではプラスとなったものの、実際には個人消費など内需の落ち込みを中心に、日本経済が長期にわたって低迷していることを浮き彫りにしています。経済再生を実現できていない、安倍晋三政権の経済失政の責任は重大です。
実質賃金増えず消費低迷
10〜12月期のGDPは、物価の影響を反映して生活実感により近い名目GDPでも前期比0・3%減、年率換算では1・2%減となっています。名目GDPがマイナスになるのも4〜6月期のマイナス0・0%以来です。
10〜12月期の落ち込みの原因を需要項目別で見てみると、個人消費(民間最終消費支出)は実質で前期比0・8%減、民間住宅投資は同1・2%減と大きく落ち込み、民間設備投資は同1・4%増、公共投資は同2・7%減などとなっています。個人消費は実質GDPがプラスになった7〜9月期でも0・4%の伸びにとどまっており、GDPの約6割を占める個人消費の低迷が、経済再生を遅らせていることは明らかです。
個人消費の低迷は暖冬など季節的な要因もありますが、安倍政権の経済政策「アベノミクス」のもとでも賃金が増えず、一昨年4月の消費税増税の影響も長引いて、実質賃金が低下を続けていることが一番の原因です。GDPをもとに算出した雇用者報酬で見ても10〜12月期は前期比実質0・2%増と横ばいです。厚生労働省が先週発表した毎月勤労統計調査では、15年の実質賃金は前年比0・9%減と4年連続マイナスです。これでは消費は増えようがありません。
円安や株高、法人税減税で大企業がもうけを増やせば賃金も上がり、消費も増えるというのが「アベノミクス」のうたい文句でした。大企業はもうけても内部留保をため込むばかりで賃金は上げず、雇用も増やすのは賃金の低い非正規雇用ばかりというのでは、賃金も消費も改善しません。「アベノミクス」の破綻は明らかです。
日本銀行はさらに金融を緩和すると異例な「マイナス金利」の導入を決めましたが、円安・株高どころか、逆方向の円高・株安が進み、「アベノミクス」はますます行き詰まっています。だいたい経済が低迷しているのに、金融だけでてこ入れしようとしても無理があります。「アベノミクス」の中止と転換がなにより不可欠です。
消費税増税中止、転換を
「アベノミクス」が続けば続くほど、日本の経済が再生するどころか、貧困と格差が拡大する一方です。食い止めるには、国民の暮らしを後押しし、暮らし最優先で経済を立て直すしかありません。
日本共産党の志位和夫委員長は今国会の代表質問で、消費税10%増税の中止、社会保障の削減から充実への転換、人間らしく働ける雇用のルール確立、環太平洋連携協定(TPP)から撤退し経済主権を回復する―の四つを提案しました。こうした提案を実現させる、国民の世論と運動が重要です。