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2016年2月18日(木)

URの巨額補償に疑問

敷地に産廃 建物移転は不可能

甘利氏疑惑 原資には税金

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 甘利明前経済再生相の閣僚辞任につながった金銭授受疑惑。同氏側から口利きを受けた都市再生機構(UR)が千葉県の建設会社S興業の敷地に産業廃棄物が埋まっているのを把握しながら、同社と敷地内での建物移転補償の名目で2億2千万円の支払い契約を結んでいたことが17日までにわかりました。その原資には税金が含まれます。 (「政治とカネ」取材班)


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(写真)甘利明前経済再生相の金銭授受疑惑の舞台となった千葉県白井市の県道建設現場。右の塀の奥は移転補償を受けたS興業の敷地

 産廃がある土地には新たな建物を建てられないため、URは実行できない移転の費用を払ったことになります。UR元職員は「甘利氏という政権中枢にいた人物の口利きがなければ、こんな補償は実現しなかったはずだ」と指摘します。

 URからS興業への2億2千万円の支払い契約は2013年8月に締結されました。原資はニュータウン開発に伴う県道の整備費で、県によると2分の1は国の補助金、3分の1は県費、6分の1がURの資金。URも本紙の取材に、補償金に税金が含まれることを認めました。

指導でとん挫

 しかしその後、県廃棄物指導課から「産廃があるため建物建築は認められない」との指導が入り、移転はとん挫。URが公開した甘利氏の秘書(当時)との面談記録にも、この件について言及があります。

 UR側は産廃の存在を認識していました。本紙が入手した千葉県企業庁とURが07年に交わしたこの道路整備に関する確認文書には、道路予定地と周囲の「廃棄物の処理」が業務として明記されています。12日に日本共産党の辰巳孝太郎参院議員、斉藤和子衆院議員らが現地調査をした際も、URの担当者は「S興業の敷地にも産廃があることは知っていた」と回答。県の指導で移転ができなかったことについては「補償契約の締結後に生じた事態だ」と説明しました。

 URからS興業への補償は、12年から15年にかけて(1)道路用地上の物件移転補償1600万円(2)道路用地周囲の物件移転補償2億2千万円(本件)(3)移転しなかった建物への工事による損害補償5100万円―がすでに支払われたとされます。

「極めて異例」

 さらに産廃の撤去費用などについて第4、第5の補償が交渉中でした。民主党は甘利氏の秘書がS興業側に「20億円…言葉にしてほしい」と要求額を提案していた会話の録音を公開しました。

 UR元職員は「補償は一回でまとめるのが基本。一業者に対して次から次へと補償を重ねるのは極めて異例だ。甘利氏という重要人物の側から口利きがあったからこそ、こういう支払いが行われたとしか思えない」と話しています。


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