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2016年2月20日(土)

南スーダンで暴力衝突

国連キャンプ 住民18人が死亡

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 南スーダンの北東部マラカルにある国連平和維持軍の設置した「文民保護キャンプ」で17日夜から18日朝にかけて、異なる民族の間の衝突が起き、これに政府軍が介入して、キャンプの住民に多数の死傷者が出ました。現地放送局ラジオ・タマーズジが報じたもの。同キャンプで病院を運営する「国境なき医師団」は、少なくとも18人が死亡し、36人の負傷者を治療したと発表しました。

 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は「政府軍を含む全当事者に対し、国連施設の不可侵性への注意を喚起する」「民間人、国連施設、平和維持軍へのいかなる攻撃も、戦争犯罪だ」と強い言葉で非難しました。ラジオ・タマーズジによると、17日夜にキャンプに住む三つの民族集団の間で暴力的衝突が発生。住民の証言では、政府軍がキャンプ内に侵入して戦闘に参加したことで、状況が深刻化したといいます。

 国連南スーダン派遣団(UNMISS)の18日の声明は、政府軍の関与には触れず、17日夜から18日にかけての衝突では「小火器、オノ、その他の武器が使用された」と指摘。国連の警察が催涙ガスを発射して鎮圧を図り、平和維持部隊がキャンプの警備を強化したとしています。

 政府軍(おもにディンカ人)と反政府派(おもにヌエル人)との間で2年余り前に内戦が勃発した同国では、230万人が家を追われました。国連は全国に国内避難民保護のためのキャンプを開設し、約20万人を収容。マラカルのキャンプには約5万人が避難していました。

解説

戦争法で任務拡大したら自衛隊が対応することに

 南スーダンの国連キャンプ内で発生した暴力事件は、戦争法に伴う自衛隊のPKO(平和維持活動)任務拡大の危険を証明したことになります。

 改定されたPKO法では、自衛隊が「安全確保業務」と称して、「住民保護」や、特定区域の「監視、駐留、巡回、検問、警備」を行うことが可能になり、これら任務遂行のための武器使用まで認めています。

 これに基づけば、自衛隊が国連キャンプの警備を行うことが可能になります。UNMISSは「住民保護」を主要マンデート(任務)に掲げ、そのための武力行使を認めています。自衛隊がキャンプの警備を行い、今回のような事件に遭遇すれば、「住民保護」のための発砲も求められます。住民グループが入り混じった騒乱の中、暴力とは無関係の住民を誤射する危険もあります。

 今回の事件の直接的なきっかけは、宗派が異なる集団同士の衝突ですが、米国の電子ジャーナル「デイリー・ビースト」19日付は、南スーダン政府軍の兵士50人がキャンプの壁を壊して侵入したと報じています。18日付の国連事務総長声明も、「国連施設の不可侵性への注意を喚起」するよう、「政府軍を含むすべての関係者」に呼びかけており、そのような事態があったことを間接的に示唆しています。

 最悪の場合、自衛隊が南スーダン軍と交戦する可能性さえあります。そうなれば主権国家との交戦になり、政府の理屈から言っても憲法9条が禁じる海外での武力行使に該当します。

 (竹下岳)


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