2016年2月25日(木)
官房機密費使途訴訟
二審も開示命令 安倍長官時などの一部
大阪高裁
安倍晋三首相の官房長官時代などに支出された官房機密費(内閣官房報償費)の使途をめぐり、市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーが情報開示を求めた2件の訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(田中敦裁判長)は24日、一審に続き支払い相手などが特定される部分を除いた一部の開示を命じました。原告側によると、官房機密費の使途を明かすよう求めた訴訟で高裁判断は初めて。
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2件の対象となった支出は、官房長官を安倍氏が務めた2005〜06年の約11億円と、河村建夫氏が務めた09年の約2億5千万円。原告側は領収書や、出納管理簿、報償費支払明細書などの開示を求めていました。
田中裁判長は、使途や支払先の記載がない文書は「内閣の事務や事業の遂行に支障を及ぼす具体的なおそれがあるとまでは認められない」と指摘。一審判決と同じく開示対象としました。一方、領収書などのうち、公共交通機関の利用分については開示すべきではないとの判断を示しました。
官房機密費はかつて国会の野党対策や政治家のパーティー券購入に使われたとされ、民主党政権で使途の一部公開が検討されたものの、実現しませんでした。
原告が記者会見
「国の秘密主義に風穴」
官房機密費の使途の一部開示を命じた大阪高裁判決をうけ、原告が記者会見しました。原告弁護団長の阪口徳雄弁護士は、「提訴から10年近くかかったが、高裁レベルでも国の秘密主義に風穴を開けることができた」と評価しました。
原告の上脇博之・神戸学院大教授は、地裁に続き高裁も一部開示の判断をしたのは画期的とし、「裁判所が“開かずの扉”を否定した。知る権利、国民主権でいえば原則として公開が基本ということだ」と主張しました。
原告側は国に対し、高裁判決を重く受け止め、最高裁に上告しないことを求めるとともに、官房機密費のあり方について国会で議論すべきだと呼びかけました。
官房機密費 官房長官が責任者として機動的に支出できる経費。最近は毎年度予算に14億6000万円が計上されています。会計検査院の検査を受けますが、支払い相手の領収書などは検査院の求めがない限り提示の必要はありません。