2016年2月29日(月)
甘利氏真相語らず 口利き金銭授受 疑惑深まる
辞任会見から1カ月
安倍首相の盟友中の盟友、甘利明前経済再生相が自らの疑惑で辞任会見を行ってから28日で1カ月となりました。追加調査の公表は「しかるべきときにする」とのべたものの、「睡眠障害」のため自宅療養が必要と国会を休むなど真相解明はすすんでいません。(藤沢忠明)
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関係者の証人喚問必要
2013年8月、UR(都市再生機構)とS興業は、千葉県内の道路建設でS興業の物件を移転させる補償金として、2億2000万円を同社に払う契約を結びました。
S興業の総務担当者だった一色武氏は、甘利氏の秘書に仲介を依頼後、当初はゼロ回答だったURとの交渉が進展し、最終的には移転補償金が2億2000万円でまとまったことを証言しています。
URが甘利氏の秘書と面談した際のやりとりを公開しましたが、秘書がUR側に「甘利事務所の顔を立て」るよう求める発言や、「少しイロを付けて」と補償金の増額を求めるような言葉が記載されていました。
国が出資しているURとの交渉に「口利き」し、その見返りに報酬を受け取っていたという、あっせん利得処罰法にふれる疑惑というのが、ことの核心です。
補償金を原資に
重大なことは、その口利きの謝礼として甘利氏の秘書に渡した500万円の原資は補償金だったということです。
一色氏は、2月4日発売の『週刊文春』で、「補償金の一部が(13年)8月20日に振り込まれた。この日にお金を引き出し、口利きのお礼を渡すべく(神奈川県大和市にある甘利氏の)大和事務所に向かった」と話しています。
しかも、補償金の原資は、ニュータウン開発に伴う県道の整備費で、県によると、2分の1は国の補助金、3分の1は県費、残り6分の1がURの資金。URも本紙の取材に、補償金に税金が含まれることを認めており、税金が回りまわって、甘利氏側に流れたことになります。
無記載の資金も
S興業側から甘利氏側への資金提供は、政治資金収支報告書に記載されている以外にも巨額にのぼることも明らかになっています。
甘利氏は辞任会見で、13年11月14日に大臣室で、14年2月1日に地元事務所で一色氏から受け取った各50万円を、「政治資金として適正に処理するよう指示した」と強調。14年2月4日付で計100万円として、収支報告書に記載したと説明しました。
ところが、一色氏は「2月4日付の100万円は、私が渡したものとは別に、S興業が献金したもの」だと証言しています。
政治資金収支報告書は、1月〜12月の1年分を報告することになっており、年をまたいで報告すること自体、異例で、虚偽記載の可能性があります。S興業からの別の100万円が事実とすれば、不記載となります。
甘利氏はじめ、関係者の国会での証人喚問が不可欠です。
安倍首相は甘利氏をかばうだけでなく、「企業・団体が政党等に献金すること自体が不適切とは考えていない」と開き直り、パーティー券も含め、企業献金禁止に背を向けています。問われているのは、政治を「カネ」で動かすというワイロ政治、企業献金そのものです。
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