2016年3月6日(日)
南スーダンPKO 特殊武器防護隊を派兵
自衛隊 「核・生物・化学」を専門
アフリカの南スーダン共和国に展開している自衛隊のPKO(国連平和維持活動)部隊に、生物・化学兵器や放射性物質、爆発物などによる攻撃に専門で対処する特殊武器防護隊が派兵されていることが分かりました。防衛省が本紙の取材に対し、「事実だ」と認めました。
防衛省「事実」 本紙に回答
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戦争法により自衛隊PKOに「駆け付け警護」や「安全確保業務」といった新任務が南スーダンで付与されれば、専門性・戦闘能力の高い隊員がさらに増員される可能性があります。
派兵が確認されたのは、陸上自衛隊第3特殊武器防護隊(兵庫県伊丹市・千僧(せんぞう)駐屯地)と同第10特殊武器防護隊(名古屋市・守山駐屯地)。第3防護隊は南スーダンPKOの第5次要員(2013年11月〜)として、第10防護隊は現在活動中の第9次要員(15年11月〜)として派兵されています。
南スーダン「施設隊」は、陸自の海外派兵任務を一元的に担う中央即応集団(CRF)の配下にあり(図)、各特殊武器防護隊も、派兵中はCRFの配下に入ります。毎回の派兵に特殊武器関係の隊員が少なからず選抜されているとみられます。
特殊武器防護隊は、化学・生物・放射性・核・爆発物といった特殊兵器(CBRNE)が使われた場合に、偵察や除染を行う専門集団。防衛省は同隊が「炊事等の厚生業務に従事してきている」とし、特殊武器の使用を想定した任務ではないと説明しています。
化学職種に詳しい元自衛隊幹部は、感染症から部隊を守るための「防疫活動」にあたっている可能性を指摘。「海外派遣のノウハウを積んでいる可能性もある」といいます。
南スーダンPKOで自衛隊は、道路整備や敷地造成などの施設整備を中心に活動していますが、実際には、各方面隊だけでなく、中央即応集団などからも専門性の高い隊員が選抜され、さまざまな事態への対処を想定しているとみられます。
防衛省は「施設隊」の小隊ごとの人数・所属などは明らかにしていません。