2016年3月9日(水)

ＴＰＰ法案国会提出

農業破壊、経済主権を侵害

後半国会の最大焦点に

　安倍晋三政権は８日、環太平洋連携協定（ＴＰＰ）本体の承認案と関連法案を閣議決定し、国会へ提出しました。３月中にも衆議院に特別委員会を設置して法案審議に入り、今国会で成立させることを狙っています。夏の参議院選挙を前に、ＴＰＰ審議が後半国会の最大の焦点となります。

　ＴＰＰは、２０１２年総選挙での自民党の公約を破って交渉に参加し、国会決議に反して合意・署名されたものです。日本の農業を破壊するだけでなく、国境を越えてもうけを追求する多国籍大企業のために規制を緩和し、各国の経済主権を侵害します。

　関連法案は、農林水産分野４本、その他７本の計１１本をまとめた一括法案。農林水産分野では、ＴＰＰによる関税大幅削減の打撃を避けられない牛・豚肉の畜産農家の赤字を補填（ほてん）する施策などを盛り込んでいます。

　その他は、ＴＰＰに合わせて国内法を改変するものです。著作権法では、著作権の保護期間を原則として「作者の死後５０年」から「７０年」へ延長。一定の要件の下で、著作権を持つ本人による被害の訴えがなくても公訴を提起できる「非親告罪」の導入を図ります。

　ＴＰＰの発効には少なくとも、署名した１２カ国中の６カ国、国内総生産（ＧＤＰ）で８５％以上を占める諸国が国内の承認手続きを完了することが必要です。単独で１５％超を占める日本一国が承認しないだけでも、発効条件が満たされません。国会での徹底審議を通じ、政府が各国と合意したＴＰＰの反国民的な内容を余さず明らかにするとともに、承認案を否決することが求められます。