2016年3月9日(水)
国際司法裁 核軍縮へ 初の訴訟開始
マーシャル諸島提訴 保有国の責任問う
【パリ=島崎桂】核保有国が核不拡散条約(NPT)の課す核軍縮義務を怠っているのは国際法違反だとして、太平洋のマーシャル諸島共和国が核保有国を提訴した世界初の訴訟が7日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で始まりました。
7日の対インドの第1回口頭弁論では、マーシャル諸島のデブルム前外相が、米国の核実験により住む島を失い、放射能汚染に伴う健康被害に苦しんでいる住民の惨状を訴えました。インド側は、同日の意見陳述を見送りました。
米国は1946〜58年、自国の委任統治領だったマーシャル諸島で計67回の核実験を実施。54年3月1日の水爆実験では、第五福竜丸をはじめとする日本のマグロ漁船などが被ばくしました。
訴訟は各国ごとに行われ、対パキスタンは8日、対英国は9日に開始します。ICJの管轄権を認めていない米仏ロ中と、NPT未加盟のイスラエルとNPT脱退を宣言した北朝鮮の6カ国は訴訟に応じていません。
デブルム氏とともに訴訟の共同代理人を務めるファンデンビーゼン氏は「(今回の訴訟に)応じる必要がないと判断したことは恥ずべきことだ」と6カ国を批判しました。