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2016年3月19日(土)

東京五輪工事受注ゼネコン

12社に都幹部OB天下り

2件は落札率99% 「談合」疑う声も

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 東京都が2020年東京オリンピックにむけて発注した3競技施設の建設工事を受注したゼネコン14社中、12社に都幹部OBが天下りしていたことが18日、本紙の調べで明らかになりました。


 東京都が1月に行った3競技施設(ボート・カヌー、水泳、バレーボール)の一般競争入札は、大手ゼネコンを中心にした3件の建設共同企業体(JV、表)が受注しました。

 都は予定価格を事前公表していますが、3件中2件は落札率(予定価格に占める落札額の比率)が99%台と異常な高率でした。「談合ではないか」との指摘があがっています。

 本紙は、東京都総務局が公表した幹部職員の再就職者名簿(都庁人材バンク)と複数の都OB名簿(いずれも10〜15年)に基づいて、企業への天下り状況を調査しました。

 その結果、今回の五輪施設工事を受注した3件のJVに参加する建設会社14社のうち、12社が都OB45人(表)を受け入れていたことが判明。このうち局長級は3割の14人いました。都を退職後、外郭団体などを渡り歩いたあとに、再々就職した人もいます。

 天下りOBの役職は、常務執行役員、顧問、参与、審議役、理事、部長、調査役など。公共事業の入札情報収集や、営業活動をしている人もいました。

 総務局人事部は「都を退職後2年間は退職前の5年間に従事した職務に関して働きかけをしない」ことを再就職の条件にしており、4月から施行する条例で、新たに罰則規定を導入する―と説明します。しかし、天下り後3年経過したOBは規制の対象外です。

五輪施設工事受注企業と天下り都OBの数

 ◇海の森水上競技場

 ・大成建設JV

 248.9億円(99.99%)

 大成建設   9人

 五洋建設   7人

 佐藤工業   4人

 岩田地崎建設 1人

 東洋建設   5人

 大末建設   1人

 ◇有明アリーナ

 ・竹中工務店JV

 360.2億円(99.82%)

 竹中工務店  3人

 福田組    2人

 株木建設   3人

 京王建設   1人

 鉄建建設 ※ 1人

 ◇アクアティクスセンター

 ・大林組JV

 469.8億円(87.26%)

 大林組    8人

 鉄建建設 ※ 1人

 本紙調べ。( )は落札率。

 ※は2件のJVに参加。

解説

大型工事拡大で癒着温存

 建設業界への都幹部の天下りは、自民党型都政(1979年以降)の都庁新宿移転、臨海副都心開発、幹線道路など大型公共工事の拡大政策のもとで顕著になり、舛添要一現都政のもとでも癒着構造は温存されています。

 今回の3競技施設の発注額は合計1079億円。追加工事や五輪大会後の改修などを含めると1500億円に及ぶ大規模工事です。

 五輪工事の営業活動に関わったというOBは「利益率をどれだけ確保するかが大きな課題だ。都の関係者に会社側の要望を伝えたこともある」と記者に語りました。

 五輪競技会場をめぐっては、新国立競技場だけでなく、都が発注した施設も「整備費が高すぎる」「海風や波が影響して五輪会場に不向きだ」(海の森水上競技場)、「観客席2万席は過大だ。大会後に1万5000席を撤去する改修に74億円もかかる」(アクアティクスセンター)と批判があがっています。

 (岡部裕三)


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