2016年4月2日(土)
若者の自衛隊離れ 加速
現場部隊の応募数 激減
集団的自衛権行使容認の「閣議決定」や戦争法=安保法制の強行などを受け、自衛隊に志願する若者が減少している実態が明らかになりました。(吉本博美)
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防衛大の任官拒否率 倍増
幹部自衛官を養成する防衛大学校(神奈川県横須賀市)の2015年度卒業生のうち、任官辞退(拒否)者数は47人。卒業生419人の1割にあたり、前年度比の約2倍にのぼりました。秘密保護法が成立した13年度、集団的自衛権行使容認が「閣議決定」された14年度と、3年連続で任官拒否率が上昇しています。とくに今回の拒否率は、近年で最も高かった08年のイラク派兵終了時の8・1%も超えるものです。(グラフ上)
防衛大によれば、主な学生の辞退理由は、民間会社等への就職が半数を占めています(表)。防衛省関係者からも、任官拒否の増加については「安保法制の影響もありうる」との声がもれています。
戦争法に不安
日本労働弁護団が戦争法施行直前の3月26日に実施した「自衛隊員・家族のための安保法制施行・緊急電話相談会」では、自衛隊員の家族から多数の相談が寄せられました。
息子が防衛大学校に通うという相談者は「今回の安保法制があって、このまま息子が自衛隊に入隊していいものか心配だ。防衛大内でも不安に思っている人が多いそうだ。今回の緊急電話相談も息子に頼まれて電話した」と証言しています。
さらに18歳以上27歳未満を対象にした、現場を支える実動部隊の隊員となる非任期制の「一般曹候補生」の応募者数も大幅に減少。14年度の応募者3万1145人に対し、15年度は2万5092人と約6000人も減っています。一方、採用者数は増加。防衛省によれば、11年〜13年度には3000人台だった採用者数は、14年度から4000人台になっています。(グラフ下)
「徴用」の危険
日本共産党の仁比聡平議員は3月25日の参院予算委員会で、民間船舶の戦時利用に加え、海上自衛隊が4月に一般社会人や学生を予備自衛官補として採用する制度を導入する方針であることを明らかにしました。全日本海員組合は「事実上の徴用だ」と同制度導入に抗議しています。
若い自衛官志願者が減少する中、政府があらゆる分野で自衛官採用をすすめる危険があります。