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2016年4月4日(月)

待機児童問題 政府の緊急対策

問題点が浮き彫り

詰め込み拍車 実態に合わぬ目標 保育士処遇先送り

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 待機児童問題への国民的怒りを受けて厚生労働省が打ち出した緊急対策―。国会質問を通じて問題点が浮かび上がっています。(鎌塚由美)


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(写真)保育士の処遇改善を求め国会内で開かれた緊急集会=3月29日

 緊急対策の柱は、(1)人員配置など国の最低基準を上回る自治体は、受け入れ人数を増やす(2)19人以下の小規模保育の上限を22人に拡大する―などが柱。子どもたちと保育士に負担を強いるものです。

法の趣旨に逆行

 保育所面積基準は1948年以来、人員配置は69年以来、改善されていません。自治体の基準は、あまりに低い基準の改善を求める父母らの声に押され、国の基準に上乗せされたものです。

 児童福祉法に基づく厚労省の「児童福祉施設の整備および運営に関する基準」では、▽最低基準を常に向上させなければならない▽最低基準を理由として低下させてはならないと定めています。

 日本共産党の池内さおり議員が、今回の緊急対策は「法の趣旨にも明確に反する」、「緊急だから劣悪でいいということにならない」(1日の衆院内閣委)と追及しました。加藤勝信少子化担当相は「市町村で判断いただくもの」としか答えられませんでした。

根拠ない皮算用

 これまで塩崎恭久厚労相は、全国1655カ所の小規模保育で「(1カ所)3人増やして、約5000人の(待機児童)解消」などと皮算用を述べていました。3人も増員できる施設がいくらあるのか聞かれると答弁できず、「単純計算するわけにはいかない」(3月30日)と述べ、“5000人解消”に根拠がないことが明らかになりました。

 保育問題が焦点になるなかで、“待機児童ゼロ”どころか、“隠れ待機児童”が6万人もいることが判明(同28日)しました。

 日本共産党の高橋千鶴子議員は「待機児童を絞って公表するのは意味がない。必要なニーズをつかみ、それに応えていくべきだ」(同30日、衆院厚労委)と迫りました。塩崎氏は「最も多い定義として市町村が上げてきたのが50万人(の整備計画)」としか答えられず、責任ある整備目標になっていませんでした。

現場に落胆の声

 日本共産党は、待機児童解消に不可欠な保育士の処遇改善策が政府の緊急対策にないのが大問題だと追及しました。政府は、5月に出すという「一億総活躍プラン」で示すとしていますが、「恒久財源をどうするかで呻吟(しんぎん、苦しみうめく意味)している」(塩崎厚労相)と先送りする態度に終始しています。

 対応が遅く具体策に乏しい安倍政権に対し、「処遇改善もない。次は、『保育士は死ね』ということかと落胆の声があがっています」(同31日の参院内閣委の参考人、全国保育団体連絡会の実方伸子事務局長)と批判の声があがり、保育現場の失望を招いています。


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