2016年4月5日(火)
10カ国の現旧指導者ら 租税回避地に関連会社
国際報道団体
【パリ=島崎桂】南ドイツ新聞と「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)は3日、世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)に設立された法人約21万社に関する内部資料の調査結果を公表しました。これらの中には、ウクライナのポロシェンコ大統領やアイスランドのグンロイグソン首相ら現職の首脳、ロシアのプーチン大統領の友人らが所有する会社も含まれていました。
タックスヘイブンは、法人税などの税率が極めて低い国や地域の総称。多くの場合、資産の移動に関する秘密厳守が徹底しており、脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)、課税逃れを目的とした資産・所得移転の温床となっています。タックスヘイブンの存在は近年、各国財政にも悪影響を与えており、情報開示や規制に向けた国際的な動きが強まっています。
今回明るみに出たのは、各地のタックスヘイブンで法人設立を代行するパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」が1977年から2015年にかけて作成した1150万点に上る内部資料。タックスヘイブンをめぐる情報流出では過去最大です。資料は南ドイツ新聞が昨年入手したもので、ICIJに共同調査を要請していました。
ICIJのジェラルド・ライル氏は、今回の公表がタックスヘイブンへの「最大の打撃」になるとの見方を示しました。
資料には、シリアのアサド大統領やエジプトのムバラク元大統領、リビアの元指導者カダフィ大佐ら10カ国の現旧指導者12人のほか、128人の各国政府高官が所有する会社も含まれていました。
プーチン氏の友人であるチェロ奏者のセルゲイ・ラルドゥーギン氏らが所有する複数の会社に対しては、ロシア銀行から総額数十億ドル(数千億円)に上る送金があったといいます。