2016年4月9日(土)
首相は「TPP断固反対と言ったことは1回もない」と国会答弁したが
この選挙公報は何なのか
安倍晋三首相が7日の衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で「TPP断固反対と言ったことは一回も、ただの一回もございません」と答弁したことに対し、「ひどすぎる。選挙で断固反対といってたよね」「自民党は毎日がエープリルフールか」「民主主義だけでなく選挙も全否定か」との批判がわき起こっています。
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安倍首相はこれまでTPPについて「聖域なき関税撤廃を前提とするTPPには反対する」と繰り返し表明。自民党は2012年の総選挙で「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」とのポスターを全国に張り出し、北海道比例ブロックの選挙公報で、安倍首相の顔写真入りで「私たちの暮らしを脅かす『TPP』を断固阻止する!」との公約を掲げていました。
今国会に出されているTPP承認案・関連法案をめぐっては、この公約が守られたのかどうかが厳しく問われています。安倍首相の答弁は、こうした自らの言明も選挙公約もかなぐり捨てて、TPPを国民に押し付けようとするものです。
TPP特別委 異常事態に
TPP承認案と関連法案を審議する衆院特別委員会で8日、2日目の総括的質疑が行われましたが、前日に安倍晋三首相はじめ政府側が情報開示を拒否したのにつづき、この日は西川公也委員長の不公正な運営も加わり、5時間半以上にわたり審議が中断する異常事態となりました。
最初に質問した民進党の緒方林太郎議員は、西川氏の出版予定の著書『TPPの真実』の校正刷りを示して、政府は国会への情報開示を拒否しているのに、西川氏には情報提供しているのではないかと追及しました。
しかし、石原伸晃TPP担当相は、校正刷りの真偽が不明との理由で「コメントは控えたい」と答弁拒否。西川氏が「質問をわかりやすく」などと石原氏に加担する発言を繰り返したため、民進党が委員長の横暴に抗議し退席しました。
これをうけ、民進党、日本共産党、社民党、生活の党の野党4党の国対委員長が会談し、西川氏の委員会運営は公正なものとは程遠いという認識で一致。政府の答弁が正確でないときは委員長がしっかり答弁させること、校正刷りの存在を認めることなど、質疑を行う環境をつくるよう求めることで合意しました。
その後、特別委員会理事会が断続的に開かれ、日本共産党の畠山和也議員は「各党の合意のないもとで委員会再開を強行すべきではない。審議できる環境を整えるべきだ」と主張しました。しかし西川氏は野党が抗議するなか職権で委員会再開を強行し、この日最後に予定されていたおおさか維新の会議員の質問が行われました。日本共産党の笠井亮、畠山両議員の質問は来週以降に持ち越されることになりました。