「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年4月23日(土)

“イランとの対話を”米大統領

米・湾岸諸国 首脳が会談

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 【リヤド=小玉純一】オバマ米大統領とサウジアラビアなど湾岸協力会議(GCC)6カ国の首脳が21日、リヤドで会談しました。

 会合後に記者会見したオバマ大統領は、サウジなどと対立するイランへの対応について、「防衛の準備」と「緊張緩和の対話」の二つが必要だとGCC首脳に述べたことを明らかにしました。

 この問題では、昨年のイラン核合意と制裁解除以降、ペルシャ湾岸諸国の間で、イランの影響力拡大に反発が強まっていました。

 オバマ氏は、「(米国の)すべての力を使って、湾岸の核心的利益を守り、同盟国への攻撃を抑止し反撃する」と約束。ホワイトハウスが発表した共同コミュニケによると、米国とGCCは、「地域を不安定にするイランの行動」に対し、海上の監視やミサイル防衛での協力を確認しました。

 オバマ氏はまた「地域の繁栄と安定は国々が市民を平等に扱うかどうかで決まる。宗派主義が平和と繁栄の敵だ」とのべ、地域で強まる宗派対立に苦言を呈しました。

 会談はほかに、過激組織IS掃討、イラク、シリア、イエメン、リビア情勢などを協議。開催国サウジのサルマン国王は会談の終わりにあたり、「建設的な協議だった」と述べ、「湾岸諸国と米国の歴史的戦略的な関係を、湾岸諸国は発展させる」と強調しました。

 米国とGCCの首脳会合は、昨年5月にワシントン近郊のキャンプデービッドで開かれたのに続いて2回目です。

解説

地域対立でテロが台頭

 オバマ大統領のサウジ訪問では米国と湾岸諸国との間で、かねてからぎくしゃくしていたイランへの対応をめぐり、相違が残される結果となりました。

 オバマ氏は21日の湾岸協力会議(GCC)諸国との首脳会合後の会見で、米国と湾岸諸国の間に「安全保障での相互支援について広くコンセンサスがある」が、「戦術的相違がある最も大きい分野はイランについてだ」と認め、対イランでは軍事的抑止だけでなく、対話も必要だと主張しました。

 これにたいし湾岸諸国は、対立するイランが中東での影響力を広げることを阻もうとしています。昨年のイラン核合意によって、米欧が中東への対応で、イラン重視に走ることを懸念しています。

 サウジなどは力の対応に傾斜しており、イランとサウジの対立がテロ組織台頭を許す結果となっています。

 年頭には、サウジが国内のシーア派聖職者を処刑し、これに怒った民衆がイランでサウジ公館を襲撃。サウジはイランと断交しました。サウジのサルマン国王はこの間の外遊で「力の均衡」を語り、サウジでこの春実施した多国間軍事演習の成果を強調しています。

 サウジによるシリア反体制派への支援や、イエメンでの空爆などの軍事介入は、いずれもイランが支援する勢力(シリアはアサド政権、イエメンはフーシ派)との対決です。

 これがかえって紛争を激化させ、シリアでは過激組織IS、イエメンではテロ組織アルカイダとISが台頭しました。

 今回の首脳会合でオバマ大統領が、サウジなどに対しイランとの緊張緩和を促したのは、シリア、イラクでのIS制圧を最優先するためでした。

 といっても米国は、2001年以来のアフガン戦争、イラク侵攻などを通じ、世界でのテロ拡大を招いた責任があります。シリアで反体制派を支援し、イエメンではサウジの空爆を支持する点では、サウジと同じ立場です。

 深刻な人道危機にあるシリア、イエメンの政治解決、地域情勢の緊張緩和へ向け、関係大国の責任が今後も問われ続けることになります。

 (リヤド=小玉純一)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって