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2016年4月28日(木)

主張

TPPの法案審議

先延ばしでなく廃案・撤回を

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 衆院で審議が始まったばかりの環太平洋連携協定(TPP)の承認(批准)案と関連法案について、安倍晋三内閣と与党の自民・公明両党は、今国会での成立を見送る意向を明らかにしました。連休前までに衆院で採決できず、6月1日の会期末までに成立の見通しが立たないことが理由です。後半国会の焦点と位置付けられた法案ですが、安倍政権が国民の批判の前に強行を断念するしかなかったのは明らかです。これまでの審議でもTPPが国会決議に違反し、日本経済と国民生活を破壊するのは明白です。先延ばしではなく廃案にし、批准案を撤回すべきです。

審議の前提が欠けていた

 成立の見送りにより、衆院のTPP特別委員会の審議の予定も立っておらず、参院では特別委員会の設置要求そのものを与党が取り下げました。会期末までに衆院で、次の国会での継続審議を決めることを狙っているとみられます。

 安倍政権は審議の遅れを理由にしていますが、承認案と関連法案はもともと、秘密交渉で締結されたTPPの交渉経過や、TPPが日本経済と国民生活にどんな影響をもたらすのかの影響試算も明らかにしていないなど、審議の前提そのものを欠いた法案です。国会に提出された協定の日本語訳も、英文で約8400ページある協定の全体ではありません。

 4月初めから始まった衆院の特別委員会での審議は、野党が要求した交渉経過の資料要求に安倍政権が45ページすべてを黒塗りした資料しか示さず、TPPの交渉参加国に日本が約束した「守秘契約」も公表しないなど、「何が秘密かも秘密」の状態で審議は進みませんでした。しかもその一方で、自民党のTPP対策委員長などを経て衆院の特別委員長に就任した西川公也氏が出版を予定していた『TPPの真実』という本に、守秘義務に触れる交渉内容が含まれているのではないかという指摘が出され、審議は中断を重ねました。

 安倍政権がTPP交渉に参加した際、与党が賛成して衆参の農林水産委員会で決めた決議は、交渉で得た情報の速やかな公開とともに、米、麦、牛肉・豚肉など農産物の「重要5項目」を関税撤廃の対象外にするなどを求めています。安倍政権はTPPで、農林水産物の82・3%、「重要5項目」でも28・6%の関税を撤廃すると約束しました。関税が残ったものでも輸入枠などが拡大されるため、「無傷」のものは事実上ないことを、森山裕農水相が特別委の答弁でも否定できませんでした。国会決議違反のTPPの批准案と関連法案を国会に提出し、強行しようとすること自体言語道断です。承認・成立を見送るだけでなく廃案にし、批准案を撤回するのが当然です。

発効の見通しない協定

 TPPは日本とともにアメリカが批准しなければ発効しませんが、大統領選挙のため承認の見通しは立っていません。次期大統領候補はほとんど、批判的です。

 安倍政権が3月半ば、国際金融経済分析会合に招いて意見を聞いたスティグリッツ米コロンビア大学教授は、消費税の増税中止とともに、「TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつある」と証言しました。日本の承認にかかわりなく、TPPは発効の見通しが立っていない実態を安倍政権も認めるべきです。


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