2016年5月1日(日)
賃上げ・雇用維持求めて 労組のたたかい高揚
公務員 4.75%増勝ち取る
ドイツ
労働者の祭典メーデーを前に、ドイツで各産業分野での労働者の警告ストやデモが相次いでいます。この中、29日には、公務員が4・75%の賃上げを勝ち取る成果も生まれています。
(片岡正明)
公務員分野では、連邦政府と、州以外の地方自治体の公務員の賃上げをめぐって、労働者を代表する統一サービス産業労組(ベルディ)と使用者側との交渉が11日に決裂。ベルディは6%の賃上げを求め、12日から2週間、全国各地で警告ストを実施しました。保育園、清掃業、消防、近郊電車の各労働者のほか、27日には空港の公務員部分の職員も参加し、全国で約900便の飛行機がキャンセルされました。
29日の交渉では、今年の3月にさかのぼって2・4%、来年2月にさらに2・35%の計4・75%の賃上げで合意しました。ドイツのインフレ率は昨年0・14%、今年はマイナスの可能性も予測されており、賃上げがそのまま実質賃金上昇となります。
金属産業労組(IGメタル)は29日、自動車・電機産業で5%の賃上げを求めて、全国で警告ストを行い、約11万人が参加しました。使用者側は2・1%の賃上げを回答していましたが、労働者側は労働生産性上昇に見合った公正な賃上げを要求。企業の利益や株主配当は賃金よりも上昇していると指摘しています。金属産業労組は、使用者側が要求に歩み寄らない場合、スト権を確立しての本格ストもありうるとしています。
一方、鉄鋼産業分野では、金属産業労組は、雇用維持を第一に掲げ、11日に西部のデュイスブルクなどでデモ行進を繰り広げました。中国などが不当に安い鉄を輸出していることから「ダンピング反対」を叫びました。
また政府与党の一部がねらっている派遣労働者の適用拡大に対し、9日には南部ミュンヘンで、スト破りや賃金ダンピングに派遣労働者を使ってはならないと訴えるデモ・集会が繰り広げられました。数万人の参加者は「同一労働同一賃金」を要求するプラカードなどを掲げました。