2016年5月11日(水)
「パナマ文書」21万法人公開
伊藤忠・丸紅・三木谷氏など 日本は400超の個人・企業名
租税回避地を利用
タックスヘイブン(租税回避地)に関する「パナマ文書」を分析している国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、本部ワシントン)は10日、英領バージン諸島やパナマなど21の国・地域に設立された約21万4000法人に関する情報をホームページで公開しました。タックスヘイブンを利用している世界の大企業や富裕層の実名が明らかにされました。日本からは伊藤忠商事、丸紅や三木谷浩史・楽天会長兼社長を含め400以上の個人・企業の名が挙がりました。 (関連記事)
タックスヘイブンは所得税、法人税などの税率が著しく低いか、無税の国・地域。ここに法人を設立して資産を移すことで課税を逃れることが横行しています。情報は秘密にされ、実態が明らかにされていません。「パナマ文書」はタックスヘイブンとの仲介を行っているパナマの法律事務所、モサック・フォンセカから流出した1150万点以上の膨大な資料から成っています。
ICIJによると、巨大銀行のHSBC(英国)、UBS(スイス)を含む500以上の金融機関がタックスヘイブンへの法人設立に関与しています。
伊藤忠商事と丸紅は英領バージン諸島に台湾企業が設立した会社に出資していることを認めています。丸紅の國分文也社長は10日の記者会見で「ビジネス上の判断から今後もそういう場所に拠点を置くことは否定しない」とタックスヘイブンへの投資を正当化しました。
ほかにもコーヒー関連企業UCCホールディングスの役員や警備大手セコムの関連会社、ソフトバンクのグループ企業などが記載されています。
タックスヘイブンを利用した税逃れは各国の税制の違いを利用し、合法性を装っています。しかし、本来払うべき税金が支払われないため、所得を海外に移すことなどできない国民の負担が重くなります。世界で取り締まりを求める声があがっています。米国のオバマ大統領も先月、税逃れについて「法律が貧弱であることが問題だ」と述べ、抜け穴をふさぐための行動を議会に求めました。