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2016年5月28日(土)

米大統領の広島初訪問 「核なき世界」いうなら

核兵器禁止条約 具体化を

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 オバマ米大統領は、唯一の核兵器使用国の現職首脳として初めて、被爆地・広島を訪れ、「私が生きている間に核廃絶の目的は達成できないかもしれないが、可能性は追い求めたい」と「核兵器のない世界」への所感を表明しました。

 とりわけ核保有国首脳に対して、被爆の実相を一度みてほしいと理解を求め、血のにじむような運動を長年続けてきた被爆者らの願いが前進した点では、前向きの一歩です。

 「核兵器のない世界」をいうのなら、国際社会で圧倒的潮流となりつつある、核兵器禁止条約の国際交渉を開始することが求められます。オバマ氏が残りわずかの在任期間で、広島の被爆の実相にふれた経験を生かして、核政策を再検討し、交渉姿勢を改めることが不可欠です。

同盟強化の安倍首相

 一方、両首脳の広島訪問は、被爆地の願いと日米の安保政策との埋めがたい隔たりも、浮き彫りにしました。

 とりわけ深刻なのは、唯一の戦争被爆国でありながら核廃絶よりも日米同盟の強化にひた走る安倍晋三首相の姿勢です。

 首相は所感で、オバマ氏の訪問について、戦後70年を経て日米が敵国から同盟国に変わったことをあげ、「両国の和解の歴史に新たなページを刻む」と強調。昨年4月の米議会演説で自ら提唱した「希望の同盟」にもふれながら、「日米が力を合わせて世界に希望を生みだすともしびになる」と同盟の新たな姿を世界へアピールする場としました。

 「希望の同盟」とは何か。昨年4月の演説で首相は初めてこれに言及し、集団的自衛権行使も含めた新ガイドライン(軍事協力の指針)と戦争法を、「戦後初めての大改革だ」と同盟の土台に位置づけました。

 「希望の同盟」とは、「個別的・集団的自衛権に基づく極限の状況下」(14年の岸田外相スピーチ)では、再び米国による核使用を容認するものにほかなりません。

 それは、核廃絶運動を続けてきた被爆者の「ノーモア・ヒバクシャ」の願いだけでなく、「ノーモア・ウオー」との叫びを真っ向から踏みにじるものです。

 広島から「希望のともしび」などと軍事同盟強化を世界へ発信した、安倍首相の姿勢は、被爆地を政治利用する許しがたいものです。

 首相は「希望の同盟」による世界貢献が、「広島、長崎で原爆の犠牲になったみたまの思いに応える唯一の道だ」とも述べました。

 広島、長崎と同じく、第2次世界大戦の地上戦で凄惨(せいさん)な経験をした沖縄では、戦後70年間、米軍基地の負担に苦しみ、今もまた米軍属による女性遺体遺棄事件で日米同盟への怒りの声が日々高まっているにもかかわらず、首相は首脳会談で一顧だにしませんでした。

 戦争の悲惨さゆえに憲法9条を堅持してきた国の代表として首相がすべきは、国民の声より同盟強化を優先する追随姿勢を改めることです。

 (池田 晋)


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