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2016年6月21日(火)

ソニー残業代 団交で改善

1時間未満切り捨て・15分単位→1分単位計算

辰巳議員質問 労組が参考に

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 ソニーが、1時間未満の残業代を切り捨て、1時間を超えた残業代も15分単位で計算し15分未満を切り捨てていた問題で、ソニー労働組合仙台支部(電機連合)が団体交渉で取り上げるなどして、1分単位で計算するよう改めさせたことが分かりました。

 ソニー仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)で働く佐藤美和子さん(60)は今年1月までは、労働者が始業・終業時刻を決めるフレックスタイム制を適用されていましたが、定年後再雇用によって、通常の残業計算になりました。そこで実際の残業時間より残業代が少ないことに気づきました。

 組合は5月10日の団体交渉で、「労働基準法に抵触する可能性が高い」と指摘。11日、人事課から佐藤さんに対し、残業時間を申告すれば対応するという連絡があり、1分単位で残業代が出ることになりました。

 日本共産党の辰巳孝太郎参院議員が、3月28日の国会質問で、コンビニ最大手のセブンイレブン本社が、実労働時間を15分単位で切り捨て、賃金をカットする勤務管理システムを運用していると告発しています。

 松田隆明ソニー労組仙台支部委員長は「この質問を参考に、ソニーの残業時間算定の問題点を整理しました」と指摘。「今後も、正社員と再雇用者の均等待遇によって、勤務実態にあった制度を適用させるなどの改善を実現していきたい」と強調しています。

“おかしいこと 声あげないと”

 ソニー労働組合仙台支部(電機連合加盟)は1分単位で残業代を計算するよう会社に改めさせました。

 佐藤美和子さんは、ソニー仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)で、業務用磁気テープに使う磁気塗料の検査をしています。磁気テープは技術革新で再注目をあび、世界で日本企業3社しか製造できないため、ソニーのもうけ頭のひとつとなって設備も増やしています。

 佐藤さんは、一時は「追い出し部屋」に入れられ、リストラ対象となりましたが、ソニー労組のリストラ反対闘争で職場に復帰。コンパクトカセット時代から研究開発に携わって熟知した佐藤さんが、定年後再雇用になった今も、ひとりで検査を担当しています。

 磁気塗料は、土日も生産されているため、月曜日には検査の仕事がたまり、残業が長くなります。「私の検査が終わらなければ次の工程に進めないんです」と、平日も少しずつ残業しています。

 ところが、勤務表を見ると、残業時間が1時間に満たない日は、残業代が算定されていませんでした。午後5時の終業時刻に対して、15分の休憩時間を含めて、午後6時15分まで職場にいなければ残業代が出ません。その時間以降も、15分単位で残業代を計算し、15分未満は切り捨てられていました。

 佐藤さんは、職場で「これはおかしい」と主張。所属するソニー労組仙台支部で議論し、団体交渉で取り上げて、改善を勝ち取りました。

 労働者が自分で残業時間を申請する必要があるなど、さらに改善すべき課題もあります。また、定年再雇用の労働者に対し、正社員並みに都合に合わせて労働時間や休みを融通できる制度の適用なども組合で求めています。

 佐藤さんは、「やっぱり、おかしいことを『仕方ない』と思わず、口にして訴えないといけません。周りの協力を得て、前進していきたい」と強調しました。(田代正則)


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