2016年6月24日(金)
「格差は縮小」安倍首相 それ逆でしょ
非正規 これが実態
安倍晋三首相が選挙遊説で「安倍政権ができて正規、非正規の格差は縮んでいます。同一労働同一賃金をすすめ、日本から非正規という言葉をなくしていきたい」と演説しています。実際にやっていることとはまるで逆、悪質なデマ宣伝です。
賃金はたったの6割
まず正規と非正規でどれだけ賃金格差があるのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、正規の社員は月給35万2400円で、非正規社員は22万2900円です。労働時間はほぼ同じなのに13万円の差があります。ボーナスは正規社員が100万円超なのにたいして、非正規社員は21万円台。月給、ボーナス合わせた年収でみると正規社員が523万円台で、非正規社員が289万円台ですから、非正規社員の賃金は正規社員の6割にすぎません。
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正社員減らしを促進
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労働者を非正規で雇ったほうが断然安上がり。そういう財界の要求をうけて安倍政権は「企業が世界で一番活躍しやすい国づくり」をとなえ、非正規雇用を増やす雇用破壊政策をすすめてきました。
一つは、大企業が正社員を減らすリストラ支援です。人員を削減せずに雇用を維持する企業を支援する「雇用調整助成金」制度の予算をばっさり削って、逆に企業が人員を削減するときの費用の一部を助成する「労働移動支援助成金」制度を抜本的に拡大しました。
企業が正社員を減らすために再就職の業務をパソナ(竹中平蔵会長)のようなリストラ請負会社に委託すると、労働者1人当たり10万円助成する制度です。
もう一つは、労働者派遣法の改悪です。これまで「原則1年・最長3年」という期間制限を超えて労働者を働かせるときは正規雇用にするという法の根幹を改め、人を変えるなどの方法で派遣を永久に使えるようにしました。正社員を減らして派遣に置き換える「正社員ゼロ社会」に道を開いた大改悪です。
求人は不安定雇用
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安倍首相は有効求人倍率が上昇しているから、雇用は改善していると主張しています。
しかし実際は、これこそが雇用がいかにひどくなっているかを示す実例にほかなりません。いま有効求人倍率は1・34倍です。求職より求人が多いということですから、仕事探しが有利になったようにみえます。
ところが中身をみると、正規社員の倍率は0・85倍です。正社員を希望する求職者100人に対して85人の求人しかないというのが実態です。
求人の多くは非正規雇用です。倍率が高い仕事をみると、建設躯体工事6・53倍、接客・給仕3・56倍など低賃金で労働条件が良くありません。こういう非正規で使い捨ての不安がぬぐえない求人の増加で、雇用が改善しているという安倍首相の感覚はあきらかに異常です。
安倍政権下で非正規の労働者の比率は増えています。2013年の36・7%から2016年1〜3月期の37・6%に0・9ポイント増えています。
非正規雇用を増やしながら「同一労働同一賃金をすすめる」「非正規という言葉をなくしていきたい」というのはでたらめもいいところです。