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2016年6月28日(火)

英のEU離脱 スコットランド残留希望

住民の多数「怒り、失望」

自治政府 独立へ住民投票再実施も

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(写真)英北部スコットランドの首都エディンバラ市街地=26日(島崎桂撮影)

 【エディンバラ(英スコットランド)=島崎桂】英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票で、住民の多数派が残留を支持した北部スコットランドには怒りと失望が広がっています。スコットランド自治政府がEU残留に向け、同地の独立を問う住民投票を再実施する姿勢を示す中、住民の間では、スコットランドの将来をめぐる複雑な思いが交錯しています。


 「スコットランド住民の圧倒的多数はEU残留を望んだ」「(同地の独立を問う)2度目の住民投票は考慮されてしかるべきだ」

 スコットランド自治政府のスタージョン首相は24日、英国民投票の結果判明直後に会見し訴えました。同地では全体で62%の住民がEU残留を支持。全ての集計区で残留派が多数となりました。

 スタージョン氏が党首を務めるスコットランド民族党(SNP)は、同地の独立を党是としており、地域政党ながら英議会第3党に位置。2014年実施の住民投票では、独立反対55%、賛成45%で英国残留を決めましたが、SNPはその後も同地で圧倒的な支持を維持しています。

 スタージョン氏は25日にも緊急閣議を招集し、スコットランドの地位保全に向けたEUとの協議を要請。英国からの独立を問う新たな住民投票に向けた法整備を指示しました。一部のドイツ連邦議会議員からは既に、独立後のスコットランドのEU加盟を歓迎する声も上がっています。

 対応を急ぐ自治政府に対し、残留支持で一致する住民の反応はさまざまです。

 「子どもたちの将来に多くの可能性を残してやることが、おとなの義務だと思う。そしてEUは、その可能性を与えてくれる」

 スコットランドの首都エディンバラ市内の自宅前で孫を遊ばせていたジェームス・バーロフさんは、独立投票の再実施を強く求め、「実施されれば前回同様、独立票を投じる」といいます。取材中、「何話してるの?」と聞く孫の頭に手を乗せ、「お前の幸せについてだよ」と優しく語りかけました。

 一方、市内の公園で休日を過ごしていた夫婦は独立には反対だとして、異口同音に「必要なのは独立ではなく英政府の変化」「そのために早期の解散総選挙を求める」と語りました。別の女性からは、「EUからも英国からも離れて、一体何が残るの」との意見も聞かれました。

 独立への賛否を決めかねている人も多くいます。

 「世界で2番目においしい日本のウイスキーだって、スコットランドとの交流が始まりでしょ。世界への扉は閉じてはいけない」

 こう語るのは、エディンバラ市内で衣料品店を営むジョアンナ・ブラックさん。国民投票の結果については「本当に愚かな選択をした」と憤ります。ただ、独立投票と国民投票が引き起こした世論の分断には心を痛めており、「スタージョン首相には、独立を避けながらEUに留まる道を模索し続けてほしい」と訴えました。

 自治政府には今後、住民の多様な意見に応える慎重な対応が求められそうです。


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