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2016年6月28日(火)

首相は農林水産物 輸出増いうが…

「1兆円間近」の幻想

実は…、輸入は輸出の13倍

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 日本の農林水産物輸出額が2015年に7451億円に達したことで、安倍晋三首相は、政府目標の1兆円も間近だと強調し、輸出が農林水産業振興策の“決め手”になるかのような幻想を振りまいています。しかし、日本が世界一の農産物純輸入国であり、環太平洋連携協定(TPP)で農産物輸入がさらに増えるという“不都合な事実”には口を閉ざしています。

半分は加工食品

 安倍現政権下の3年間で、農林水産物輸出額は2954億円増えました。他方、輸入額は1兆6031億円も増えました。その結果、15年には、輸入額が9兆5209億円と、輸出額の約13倍にもなりました。また、15年の輸出額7451億円のうち、農産物が4431億円を占めるとされるものの、実は、その半分が加工食品なのです。

 そもそも、政府目標の1兆円も、輸出戦略によると、加工食品が半分の5000億円を占め、農産物は1400億円にすぎません。

TPPでさらに

 米農務省は14年10月、TPPによる参加12カ国の農産物貿易の変化を予測した報告書をまとめました。それによると、参加国の農産物貿易は計85億ドル増えます。しかし、輸出増加額の70%に当たる58億ドル分を日本が一手に輸入させられます。日本の輸入額が増える品目は、食肉が全体の半分を占め、その他は米を含む穀物、他の加工品、酪農製品などだといいます。

 すでに世界一の農産物純輸入国である上に、TPPで農産物輸入が増える事態にあっては、農林水産物輸出額1兆円は“焼け石に水”にもなりません。(北川俊文)

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