2016年6月29日(水)
自民10候補にカネ問題
政治資金オンブズマン告発
出所不明金や迂回献金など
今回の参院選で一大争点となっている「政治とカネ」の問題。市民団体「政治資金オンブズマン」は、政治資金規正法違反などで参院選に立候補している自民党候補10氏をこれまでに刑事告発しています。告発内容を見ていくと、共通した手口が見えてきます。(矢野昌弘)
政治資金オンブズマンは、昨年11月に島尻安伊子・沖縄担当相を告発して以降、計10人の改選議員を告発しています。(表)
3500万円も
告発された議員に目立つのが「出所不明金」の存在です。
松村祥史氏(熊本)の場合、政党支部から松村氏個人に計3500万円の寄付を受けたと前回参院選の「選挙運動に関する収支報告書」で報告していました。ところが、寄付した側である政党支部の政治資金収支報告書には、松村氏に支出した記載がありません。
こうした「出所不明金」の存在は、末松信介氏(兵庫)や猪口邦子氏(千葉)、中原八一氏(新潟)、青木一彦氏(島根・鳥取)、二之湯智氏(京都)ら多数にのぼります。
その「出所不明金」の金額は、少ないもので数百万円、多いもので3500万円となっています。「単純なミス」(二之湯氏の事務所)では済まされない金額です。政治資金オンブズマンは、政治資金規正法違反(虚偽記載・不記載)にあたると指摘しています。
鹿児島の野村哲郎氏は、「業務委託」と偽って、JA鹿児島県中央会と鹿児島県農民政治連盟を経由した迂回(うかい)献金を指摘されています。
選挙区内のスポーツクラブや親睦団体への「会費」名目で寄付する候補も複数いました。
末松氏の場合は、兵庫県内の中学校同窓会や「葡萄(ぶどう)酒倶楽部」、書道教室などへの会費、計10回20万4800円を末松氏の後援会が支払っていました。
松村氏の政党支部は、熊本県内の商工会議所やバレーボールクラブに「会費」を支払っていました。
厳しい審判を
こうした支出について、オンブズマンは公職選挙法違反(後援団体の寄付行為の禁止)にあたると告発。告発状は「『会費』名目で政党支部や後援会の『寄付』が許されるなら、公選法が禁じた『選挙区内の者』への寄付を全て脱法的にできる」と指摘しています。
また、末松氏は政治資金を使って、フランスの高級ブランド・エルメスを購入したことが判明しています(21日付、既報)。
政治とカネでも厳しい審判を下すときです。
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