2016年7月2日(土)
核被害隠しに光あてて
高知地裁 ビキニ国賠訴訟 原告らが訴え
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アメリカが1954年に太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁でおこなった水爆実験で被ばくした日本のマグロ漁船の元乗組員や遺族らが国家賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が1日、高知地裁(石丸将利裁判長)で行われました。原告らの代理人として梶原守光弁護士と原告の山下正寿氏が意見陳述しました。
梶原氏は、ビキニ実験海域で当時のべ1000隻も操業したといわれると指摘。広島、長崎に次ぐ第3の被ばく事件にもかかわらず被ばく調査は核実験が終わってから7カ月で打ち切られ、被災者の追跡健康調査もまったく行われなかったと強調しました。
「加えて被災資料は長期にわたって政府によって隠された。なぜか。日米両政府がアメリカの法的責任を免除し、以後いっさいの被害補償要求を放棄するという密約を行ったからだ」としました。「政府により歴史から消され、隠された深刻な人権問題、人道問題を戦後史の表に呼び戻し、背景と責任を裁き、後世への教訓を残す裁判です」と訴えました。
山下氏は、高知県立高校教員時代の1985年以来、高校生とともに実施した地域の被ばく者調査、聞き取りで得た証言などを涙声で紹介。「現代史のまれにみる核被害隠しに光をあて、良識ある司法の判断を願う」と結びました。
梶原氏は、裁判長とのやりとりで、提訴から約2カ月間、被告の国が原告の主張にたいする認否さえも行わずにきたことに「原告は強い不信感を持っている」とのべ、高齢化した原告らに配慮した訴訟進行を求めましたが国側がなにも抗弁しないまま、次回は10月13日と決まりました。