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2016年8月1日(月)

独 殺傷事件相次ぐ

難民受け入れ堅持

首相 テロ対策強化も打ち出す

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 ドイツで難民などによる殺傷事件が相次ぎ、難民受け入れの姿勢を続けてきた同国が揺らいでいます。(片岡正明)


 7月中旬からドイツ南部では事件が立て続けに起こっています。18日、バイエルン州ビュルツブルクでアフガニスタン人の青年が列車の中で乗客におので襲いかかり、5人が重軽傷を負いました。22日にはイラン系ドイツ人が同州の州都ミュンヘンで銃を乱射し、9人が死亡。24日には同州アンスバッハで、コンサート会場に入ろうとしたシリア人の難民申請者の男が自爆し、15人が負傷。さらに同日、隣のバーデン・ビュルテンベルク州ロイトリンゲンでは、シリア人の難民申請者の男が、同じレストランで働いていたポーランド人女性を路上で切り付け殺害、ほかにも2人を負傷させています。

 特に過激組織ISに呼応したテロの疑いが強まっているのはアンスバッハの自爆テロ事件です。容疑者のパソコンや携帯電話から見つかった映像などから、バイエルン州内相は容疑者がISに忠誠を誓っていたと断言しました。

 治安への不安が広まる中、メルケル政権与党のキリスト教社会同盟(バイエルン州のみの政党)のゼーホーファー党首は「管理不可能な数の難民を国内に入れ、このような問題を引き起こした」と批判。支持を伸ばしている極右政党「ドイツのための選択肢」は、メルケル政権の難民政策を批判し、政府は超法規的措置をとり、イスラム過激派や外国の犯罪者の疑いがある者はすべて追放せよと要求しました。

 同国へは、昨年だけで109万人もの難民が流入しました。この中で28日、夏季休暇を中断し、緊急に開かれたメルケル氏の記者会見に注目が集まりました。

 会見では「あなたの難民政策はナイーブ過ぎたのではないか」「難民歓迎のあなたの姿勢が事件を引き起こしたのではないか」と、難民政策に質問が集中しました。

 メルケル首相は、「文化や宗教の違いに憎悪と不安を植え付けようとしているテロに断固として対応しなくてはいけない」と発言。難民の過激化への注意やインターネットでの情報収集・解読、軍と警察による合同の対テロ訓練の強化など、対策を打ち出しました。

 一方で、メルケル氏は「人道的責任を拒絶することはできない。われわれの憲法でも、人間の尊厳と難民申請の権利は認められている」と難民受け入れ策自体は堅持することを確認しました。

 世論が難民に厳しくなる中、来年秋の連邦議会選挙に向け、メルケル政権がどう難民問題を扱っていくのか、注目されます。

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