2016年8月5日(金)
豊洲新市場 室内汚染
東京 発がん物質ベンゼン
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東京都が築地市場(中央区)の移転先として整備中の豊洲新市場(江東区、11月7日開場予定)の建物内の大気中に、発がん物質のベンゼンが検出されていたことがわかりました。専門家は「室内汚染されていたことは深刻だ」と指摘し、市場業者の健康被害と水産物などへの影響が心配されています。
新市場施設内での空気中の汚染物質の測定は、4月から5月にかけて都が実施。6月28日の「土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会」に報告していました。
調査結果によると、ベンゼンは青果棟2カ所で1立方メートルあたり0・0019ミリグラム、水産仲卸棟で最高0・0012ミリグラム、水産卸棟で同0・0006ミリグラムを検出。青果棟の濃度は、環境基準(同0・003ミリグラム)の6割余に相当します。
都中央卸売市場は「周辺地区の大気濃度と比べて大差はないと思う」としています。
これに対し、専門家は「土壌と地下水の中に大量の汚染物質が残り、それが室内に入ったとしか考えられない。低気圧や気温が高くなれば、ベンゼンの蒸発量は増えるはず」「市場で働く人は長期的に有毒ガスを吸入することになり、健康が心配だ」と指摘します。
測定データを分析した水谷(みずのや)和子さん=1級建築士=は「都は333区画で『帯水層底面調査』(土壌汚染調査)を怠っています。未調査地点の3分の2は青果棟のある5街区で、ベンゼンの濃度が高かったことと比例しています。都の専門家会議がベンゼンの大気濃度の目標値としていた0・0013ミリグラムを上回ったことも問題です」といいます。
豊洲新市場の土壌汚染 都は東京ガスの工場跡地を新市場用地として購入。土壌汚染対策工事に858億円を投入しましたが、対策工事の欠陥が問題になっています。ベンゼンは都市ガスを製造する際に発生し、土壌や地下水に蓄積されました。発がん性物質で、大量に吸入すると急性中毒を起こし、死亡する危険性があります。