2016年8月8日(月)
「ヒバクシャ国際署名」
各国で行動開始へ
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「核兵器のない世界」への扉を開こうとする新たな動きが生まれている―。原水爆禁止2016年世界大会国際会議(広島市)が4日に採択した「宣言」はこう述べて、国連の場で核兵器禁止・廃絶条約の実質的議論が始まっていることに注目しました。
「宣言」は、ジュネーブで開催中の国連核軍縮作業部会の議長あてに送付されました。
世界大会実行委員会が「宣言」に添付した書簡には、作業部会の「人類史的な任務の緊急性、重要性を理解しており」、「真摯(しんし)な討論に心からの敬意を表する」とのべています。そして、国連総会に提出する報告に、「核兵器禁止・廃絶の条約の交渉開始を」という「宣言」の提案をぜひ反映してほしいと要望しています。
現地の市民社会の仲間が、各国代表団に「宣言」を配布する一方、作業部会の報告書案の内容については核保有国の同盟国からの巻き返しが行われているとも伝えられます。
それだけに、草の根からの運動で、核兵器禁止・廃絶の交渉開始を後押しすることが重要です。
アメリカフレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソンさんは、「ヒバクシャ国際署名」について、「大きなインパクトを与える非常に重要な運動だ」と指摘。今後世界のさまざまな市民社会のフォーラムで広げていくと語りました。
米国の侵略戦争のなかで米軍が散布した枯葉剤の被害者が数百万人もいるベトナムでは、すでに各地の市民団体が数百万規模で集めようと行動を開始。ベトナム平和委員会のブイ・リエン・フオン事務長は、これまでに集めた8万人分の目録を5日の集会で被爆者に手渡しました。
国際署名には、セルジオ・ドゥアルテ元国連軍縮問題担当上級代表がすでに署名。世界大会の中では19カ国54人が署名しました。
オランダでは、「市民発議」の制度を活用して国会への署名を集め、今年4月、核兵器廃絶条約の交渉開始に加わるよう政府に求める決議を上げさせることに成功しました。「パックス」のセルマ・ファン・オーストワードさんは、「5月の作業部会での政府代表の発言がわずかながら前向きに変化した」と手ごたえを語ります。今後、国内でヒバクシャ国際署名に取り組んで政府に新たな圧力をかけていきたいと抱負を語りました。