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2016年8月10日(水)

主張

16年世界大会閉幕

共同の力で核廃絶の扉開こう

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 26カ国95人の海外代表と全国からのべ1万人以上が参加した原水爆禁止2016年世界大会は9日、「長崎からすべての国の政府への手紙」を採択して閉幕しました。

 今年の大会は、核兵器禁止条約についての実質的な議論が、国連の作業部会で開始される、新たな情勢のもとで開催されました。

国際政治と響き合って

 国際的な動きに直接働きかけることになったのが今年の大会の特徴です。「国連総会に対して、核兵器禁止・廃絶の条約の交渉開始をふくむ具体的な勧告を行うことを要請」した世界大会の国際会議宣言は採択後、直ちに作業部会の議長に届けられました。ジュネーブの作業部会の会場では、内容が紹介され各国政府代表に宣言が配布されました。世界大会の声が、国際政治の場で響いた瞬間でした。

 作業部会では多数の国が、核兵器禁止条約を交渉するための国連の会議を17年に開催するという提案を支持しています。一方、核兵器に依存するアメリカの同盟国などは「ステップ・バイ・ステップ(一歩一歩)のアプローチこそ唯一の実際的な道」などと主張、これに反対しています。国連総会に提出する「最終報告」をめぐり、激しい議論が続けられています。

 「核抑止力」論に立った抵抗を打ち破ってこそ、「核兵器のない世界」へ前進できます。最大の力は、諸国民の世論と運動です。国際会議宣言は、核兵器の禁止・廃絶のための条約の交渉開始と締結を求める世論と運動を強めることに全力を尽くすことを訴えました。

 4月から始まった「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(ヒバクシャ国際署名)が、威力を発揮していることが各地の経験から浮き彫りになりました。広島や長崎では県内の被爆者団体が一致して取り組み、中央段階でも原水爆禁止運動をすすめる幅広い団体が参加する連絡会が活動を開始しています。「世界で数億人」という目標達成への決意を、内外の参加者が表明しました。

 大会に国連や政府代表が参加、メッセージを寄せるなどしました。キム・ウォンス国連軍縮問題担当上級代表が「(核兵器廃絶の)目標を達成するため、みなさん全員の力に期待しています」と訴え、参加者を激励しました。市民と諸国政府との共同に、情勢を切り開く希望があることを示しています。

 安倍晋三首相は、長崎市の平和式典でも、「核兵器のない世界」に向けて「努力を積み重ねていく」と述べました。しかし、実際には、核兵器禁止条約の交渉開始に背を向け、世界の大勢にも、被爆者の願いにも逆行する行動をとっています。大会では、被爆国の顔をしながら、核保有国の代弁を続ける、日本政府の欺瞞(ぎまん)的な姿勢に厳しい批判が向けられました。日本政府に被爆国にふさわしい役割を果たさせることは、日本の運動の重要な責務といえます。

民主主義の流れを大きく

 大会では、参院選での野党共闘の発展も交流されました。1人区で野党統一候補としてたたかった人たちの発言は、参加者を勇気づけました。世界と日本の若い世代、そして女性の発言は、活気と希望を広げました。

 民主主義の流れを発展させるなら、日本も世界も変えられる―。この確信に立った、国民的な運動の発展が期待されます。


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