2016年8月14日(日)
国交省 八ツ場ダム事業費720億円増額
「計画がずさん」批判の声
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国土交通省が12日、工事中の八ツ場ダム(群馬県長野原町)の事業費を約720億円増額して5320億円にすると発表したことに対して、住民や自治体関係者から計画のずさんさを批判する声が上がっています。
同省が示した増額の内訳では、公共事業関連単価の高騰や消費税増税など「社会経済的要因」による増額が266億円と最多ですが、「地滑り等安全対策による変更」(141億円増額)や「地質条件の明確化等による変更」(202億円増額)など地質関係の工事変更に伴う増額が目立ちます。
この点について、工事中止を求めている「八ツ場あしたの会」事務局の渡辺洋子さんは「本体工事が進む中で、ダム堤体部などの地質が予想以上に複雑で、工事費の増額が必要となっていることを意味しています。地質調査のずさんさが露呈しました。国会議員の力も借り、増額要因の詳細を明らかにさせて、計画の再検討も含めて要望していきたい」と話しています。
同省は、東京、埼玉、群馬、栃木、茨城、千葉の1都5県に増額の一部の負担を求める考えです。
建設推進の立場の群馬県の大沢正明知事はコメントを出し「国に対しては『一層のコスト縮減を図るとともに一日も早い完成』を求めてきており、大変遺憾」だと表明しました。
八ツ場ダムの事業費は、1986年発表の当初計画では約2110億円でしたが、2004年の計画変更で約4600億円に倍増。無駄な大型公共事業だとする国民の批判を浴びて、工事は一時中断しましたが、安倍自公政権は昨年1月、本体工事の着工に踏み切りました。
日本共産党は、住民とともに一貫して、いっそうの事業費の高騰は避けられないと指摘し、計画の中止を求めています。