2016年8月24日(水)
最賃 25円上げ823円に
地方審議会答申 労組要求にほど遠く
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最低賃金(時給)の引き上げについて議論する都道府県ごとの地方審議会で、2016年度の引き上げ答申が、23日までに出そろいました。答申は人口を加味した全国加重平均で25円の引き上げとなり、現在の798円から823円になります。
安倍政権の意向で24円(3%)増とした中央最賃審議会(中賃審)の目安を上回りました。最賃の高い東京などに労働者が集中したことや、いくつかの地域で目安を上回る答申を出したことが影響しています。
最賃は、中賃審が地域ごとに4ランクに分けて出した目安を参考に、都道府県ごとに決めます。答申額の最高は東京都932円、最低は宮崎、沖縄両県の714円となり、地域間格差が218円へと4円広がります。
埼玉、兵庫、鳥取、島根、香川、高知の各県では、目安から1円上乗せした答申を出しました。このため、鳥取と高知は最低額を脱しました。
政府や経団連も含めた合意目標では、早期に最低800円、2020年までに平均1000円にすることになっています。安倍政権の目標では、平均1000円に到達するまでに23年までかかります。労働組合や若者グループから「いますぐどこでも1000円にして、1500円をめざす」よう求める声があがっています。
地方審議会では、引き上げ額が低すぎるなどの異議を受け付け、調査審議したうえで決定します。10月以降、新しい最賃が発効される予定です。
最賃答申 依然低額に
今すぐ1000円実現 1500円めざせ
地方審議会による今年度の最低賃金(時給)答申額は、人口を加味した全国加重平均で25円増の823円でした。依然として生活するには低すぎます。地域間格差の深刻化を放置していることも、矛盾を広げています。
安倍政権は、平均1000円到達まで7年もかかる「年率3%程度」という引き上げ目標を示し、それに沿って目安は24円となりましたが、答申は1円上回りました。安倍政権の目標が、労働者の要求にこたえていないことが浮き彫りになっています。
最高額の東京都932円で、法定労働時間の上限とされる月平均173・8時間働いても、16万1982円。年額約194万円で、年収200万円に届きません。最低額の宮崎、沖縄両県714円では、月12万4094円、年額約149万円です。
全労連による全国各地の最低生計費調査では、生活するには年額250万〜300万円、時給1500円程度が必要だという結果になっています。
都道府県を4ランクに分けて格差をつける目安方式は行き詰まっています。6県が目安を上回る答申を行いました。兵庫の地方審議会は答申のなかで、目安制度のあり方に議論を求め、「地方の実態を踏まえた議論が可能」となるよう強く要望しました。
人口流出がいちじるしい静岡県では、静岡県評、パート臨時労組連絡会と、三上元・湖西市長が1日、共同記者会見を行いました。
三上市長は、「最賃が平均以下では、静岡県内に住んでもらえない」と強調。米国が最賃を15ドル(約1500円)に引き上げようとしていると指摘し、日本も大幅に引き上げるべきだと訴えました。
全労連は、時給1500円程度が必要だという調査結果を示し、今すぐ全国一律1000円以上を求めています。若者グループ「エキタス」も最賃1500円を求める運動を広げています。
日本の経済を立て直すには、中小企業への直接支援とセットに「いますぐどこでも1000円にして、1500円をめざす」ことが急務です。
(田代正則)