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2016年8月26日(金)

主張

戦争法の本格運用

許されぬ違憲の武力行使訓練

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 稲田朋美防衛相が、戦争法(安保法制)で拡大された自衛隊の新たな任務について全面的に訓練を開始することを発表しました。南スーダンPKO(国連平和維持活動)に11月から派遣予定の陸上自衛隊部隊に新任務として付与を検討している「駆けつけ警護」や「宿営地共同防護」の訓練に続き、集団的自衛権の行使や「戦闘地域」での米軍への兵站(へいたん)などを想定した日米共同演習も狙っています。海外での武力行使を禁じた憲法9条を踏みにじる戦争法を本格的な運用段階に移行させ、日本を「戦争する国」にする重大なたくらみであり、絶対に許されません。

参院選が終わった途端に

 国民多数の反対の声を無視して昨年9月に成立が強行された戦争法は今年3月に施行されました。しかし、安倍晋三政権は、戦争法に基づく新任務の付与や訓練については、国民の批判を恐れ、7月の参院選での争点化を避けるため、先送りしてきました。一方で、実際の運用に向け、武器使用の手順を定めた「部隊行動基準」の作成などをひそかに進めてきました。国民だましの姑息(こそく)なやり方です。

 稲田防衛相の発表を受け、南スーダンPKOに11月に第11次隊として派遣予定の陸自部隊(青森市駐屯の第9師団第5普通科連隊が主体)が早速、離れた場所で武装集団に襲撃された他国軍などを救出する「駆けつけ警護」や、他国軍と共に宿営地を守る「宿営地共同防護」を想定した訓練を始めました。戦争法に基づくこれらの新任務では、従来のPKO法では不可能だった「任務遂行のための武器使用」などが認められています。内戦状態にある南スーダンへの派遣で実際にこうした新任務が付与されれば、自衛隊員が戦後初めて「殺し、殺される」という深刻な事態が起こりかねません。

 歴代政権が違憲としてきた集団的自衛権の行使や「戦闘地域」での米軍への兵站などを想定した日米共同演習も重大です。10月から始まる日米共同統合実動演習「キーン・ソード」などでの実施が検討されています。

 戦争法に基づく集団的自衛権の行使とは、日本が武力攻撃を受けていないのに、時の政権の判断次第で、同盟国の米国などと戦争している第三国の攻撃を排除するため、日本が武力を行使するものです。米国がイラク戦争のような先制攻撃の戦争を起こした際、日本が集団的自衛権を発動して自衛隊を出動させ、侵略国の一員となるところに本質的危険があります。

 米軍への兵站も、従来の「周辺事態法」にあった地理的制約をなくし、地球規模で弾薬の提供や武器の輸送などができるようになります。歴代政府が「他国の武力行使と一体化する」として禁じてきた「戦闘地域」での活動も可能にします。自衛隊が兵站中に攻撃され、戦闘になる―。こうした事態を現実にしてはなりません。

ACSA改定案の締結も

 政府は、戦争法に基づく米軍への兵站を実施可能にするため、日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定を狙っています。早期に米政府とACSA改定案を締結し、9月召集予定の臨時国会に承認案を提出する構えです。

 憲法9条に違反する戦争法の相次ぐ具体化と発動を許さず、廃止を求めるたたかいをさらに大きくする必要があります。


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