2016年8月27日(土)
主張
第2次補正予算案
大型開発と借金で生活守れぬ
安倍晋三政権が参院選前から経済政策「アベノミクス」を「加速」すると繰り返し、選挙後「財政措置で13兆円、事業規模で28兆円」の大型対策をやると持ち出してきた経済対策の第1段階となる第2次補正予算案が閣議決定されました。補正予算案は9月から始まる予定の臨時国会に提出されますが、国民生活に関連した対策はほとんどが来年度以降に持ち越しで、補正予算案は新幹線や港湾建設など大型開発を借金で賄うものが中心です。消費が落ち込んでいる国民の暮らしの立て直しに役立たないだけでなく、乱開発や物価騰貴など新たな弊害をもたらします。
「アベノミクス」破綻の中
日本経済は「アベノミクス」の開始から3年半以上たっても「効果」が表れるどころか、一昨年4月の消費税増税による消費の落ち込みが長引き、マイナス成長など、不安定な状態を抜け出ていません。安倍政権が参院選の直前になって来年4月からの消費税の再増税を延期し、参院選で「アベノミクス」の「加速」を宣伝したのは、経済政策が事実上破綻してしまっていることを証明するものです。
安倍政権が参院選後、「未来のための投資を実現する」という触れ込みで新たな経済対策を持ち出したのも、「アベノミクス」の破綻を取り繕うためです。しかし対策は寄せ集めで、“目玉”にした介護職員や保育士の処遇改善や給付型奨学金の創設など「一億総活躍」をうたった対策は検討自体が来年度以降に持ち越されたものが多いなど、まさに見掛け倒しです。第1段階として決まった補正予算案が、国民向けの対策は後回しで新幹線や港湾建設など大型開発が中心となったのはその表れです。
補正予算案にはJR東海が建設中のリニア中央新幹線の開業前倒しへの支援や整備新幹線の建設加速、大型のクルーズ船が寄港できる大型港湾の建設など、大型開発が盛りだくさんです。補正予算案の歳出増の大半が「21世紀型のインフラ整備」に充てられ、しかもその財源を賄うため、建設国債を2兆7500億円も増発し、さらにリニア中央新幹線や整備新幹線建設支援のため「財投債」を3兆1000億円発行し、財政投融資も増やします。建設国債も財投債も国の借金であることに変わりはなく、異常なゼロ金利のもと日銀が国債を買い支えている現状では、財政や金融をいっそう、いびつにすることにしかなりません。
補正予算案で「消費の底上げ」をうたった低所得者向けの給付も、消費税増税のさい実施した年6000円の給付を再増税が延期される期間も続けるだけで、新たに国民の負担を減らしたり収入を増やしたりする対策はほとんど盛り込まれていません。年金や医療、介護の改悪が続く中で国民の消費の立て直しはとうてい不可能です。
乱開発や財政悪化の恐れ
大型開発で人為的に需要を増やし、経済を動かそうというのは文字通りの従来型の対策です。しかもその内容が採算の見通しもないリニア中央新幹線や大型港湾施設の建設で、財源は借金頼みというのでは環境破壊や財政悪化の恐れは明白です。従来型の対策に頼ること自体「アベノミクス」の破綻を改めて証明するものです。
「アベノミクス」は中止し、国民の暮らし応援の対策に切り替えることが、ますます求められます。