2016年8月27日(土)
北朝鮮潜水艦ミサイル発射
非核化逆行の暴挙重ねる
「核抑止」と緊張悪化の悪循環
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北朝鮮が24日に発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が約500キロメートルを飛翔し、日本海に落下したことを受け、「ミサイル能力の向上を示すもの」(日本政府)など、事実上の成功との見方が国内外で広がっています。北朝鮮は今年に入り、弾道ミサイルを例年以上の頻度で発射しており、SLBMも今回で3回目。4月と7月に失敗に終わったとされる過去2回から、短期間で技術的進展があったと指摘されています。
SLBMは、海中を移動する潜水艦から発射されるため、地上発射の弾道ミサイルに比べ、敵からの攻撃に対して残存性が高い核報復攻撃を可能とする兵器です。
北朝鮮は15年の国防委員会声明で、SLBMの発射試験について、米国の核攻撃を念頭に置いた自衛力強化措置の一環だと主張。北朝鮮は近年、米韓合同軍事演習のたびにミサイル発射を強行する傾向にあり、今回のSLBM発射も22日から始まった米韓演習に対する軍事的示威行動だとの見方を稲田朋美防衛相は示しています。(24日)
北朝鮮のたび重なる弾道ミサイル発射は、国連安保理決議への明確な違反で、北東アジアの緊張を激化させ、6カ国協議などで確認された朝鮮半島の非核化方針にも逆行する暴挙です。
日本共産党の志位和夫委員長は、北朝鮮が7月9日にSLBMを発射した際に発表した談話で、同国の暴挙に強く抗議するとともに、国際社会には国連安保理が決議した制裁の全面実施を含む結束した努力を強め、「北朝鮮を対話のテーブルに着かせることが不可欠だ」と指摘しています。
米国を中心とする核抑止力論とミサイル防衛網の強化が、北東アジアの緊張悪化と対抗措置の悪循環を招いていることも確かです。
関係国にはいま一度、軍事対軍事の対抗ではなく、対話によって北東アジアの緊張緩和を図ること、6カ国協議による外交的な朝鮮半島の非核化実現の枠組みに立ち返ることが求められています。(池田晋)