2016年9月16日(金)
沖縄・「やんばる国立公園」指定
ヤンバルクイナ、ノグチゲラ… 多種多様な動植物が生息
“ヘリパッド 3村として対策も”
沖縄本島北部の国頭(くにがみ)、東(ひがし)、大宜味(おおぎみ)の3村に広がる約1万7000ヘクタールの地域が15日、「やんばる国立公園」として正式に指定されました。国内33番目の国立公園です。
|
“やんばる”と呼ばれる北部地域は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、ヤンバルクイナやノグチゲラなど、多種多様な固有動植物・希少動植物が生息し、マングローブ林など多様な自然環境を有する地域です。
指定された国立公園の面積は陸域1万3622ヘクタール、海域3670ヘクタールの計1万7292ヘクタール。隣接する米軍北部訓練場は指定区域に含まれていません。
同訓練場では一部返還の条件とされている新たなヘリパッド(着陸帯)建設により、大規模伐採など環境破壊が行われています。
政府は「やんばる国立公園」を含む「奄美・琉球」地域の世界自然遺産登録を目指しています。しかし、専門家や県民からは、米軍基地を放置したまま世界自然遺産登録はありえないとして、同基地の全面返還を求める声が上がっています。
同日、国頭村で開かれた3村長と環境省による記者会見で、同訓練場のヘリパッド建設や米軍機騒音などが希少生物や環境に与える影響をどう考えるかとの質問がありました。
宮城久和国頭村長は「国立公園のそばに米軍基地があることは好ましいものではない」と述べ、宮城功光(のりみつ)大宜味村長は「環境に影響するのであれば3村として対策をとる必要がある」と語りました。
伊集(いじゅ)盛久東村長は「一日も早く(ヘリパッド建設)作業が完了することを希望する」と述べ、同訓練場の一部返還後、その部分を国立公園に編入するとする環境省の方針を支持したいと語りました。
環境相代理として出席した比嘉奈津美環境政務官(自民党)はヘリパッド建設推進を強調しました。
“オスプレイない方がいい”
翁長知事 会見で表明
|
沖縄県の翁長雄志知事は15日、県庁で定例記者会見を行い、沖縄本島北部地域が「やんばる国立公園」に指定されたことに「自然環境の保全と地域振興の面から有益」と歓迎しました。
やんばる地域は、ヤンバルクイナをはじめ多くの固有種や絶滅の恐れのある希少な野生動植物が生息・生育する国内最大級の亜熱帯照葉樹林を有し、世界自然遺産登録を目指す「奄美・琉球」地域に含まれています。知事は、「指定は世界自然遺産登録に向けて一歩前進」としました。
記者団から「やんばる国立公園にオスプレイが飛び交っている状況は、好ましくないという認識か」と問われ、知事は「世界自然遺産登録を目指すという意味では、この影響は極力ない方がいい」との考えを示しました。また、県が実施している北部地域での米軍訓練による騒音などの調査結果を、現在とりまとめ中であることも明らかにしました。
この関連で知事は、高江のヘリパッド建設で防衛局の環境影響評価ではオスプレイが入っていなかったことや、オスプレイが伊江村から飛んでくるのか普天間基地から飛んでくるのかも定かでないことなどを指摘し、調査結果とともに議論したいと述べました。
16日に判決が出される辺野古裁判については、「地方自治のあり方、日本の民主主義を含め、今の基地建設の現状と本来あるべき県民の民意を勘案すると、私どもの考え方の方がご理解いただけるのではないか」としつつ、「どういう結果になろうとも(国と県の協議は)大切になるだろう」と語りました。