2016年9月19日(月)
臨時国会 安倍暴走政治と対決 党国会議員に聞く
TPP 共同を広げ 批准阻止へ
畠山和也衆院議員
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―環太平洋連携協定(TPP)は臨時国会の大争点ですね。
政府は、TPP批准を与党だけで強行することも辞さない構えだと報じられています。安倍晋三首相は、日本がTPP発効を先導すると公言しています。
アベノミクス(安倍政権の経済政策)が破綻する中で、「成長戦略の柱」と位置付けたTPPをテコに、大企業の利益のために国内の規制緩和を進める意図がみえます。また、米大統領選挙の候補者2人が現状のTPPに反対していることもあって、米国から再交渉を求められる前に批准しようというのです。
TPP批准を急ぐ日本政府の突出ぶりは、極めて異常です。
暮らしを脅かす
―TPPは「国の形を変える」とまで言われていますね。
TPPは、(1)関税撤廃(2)「非関税障壁」撤廃(3)投資家対国家紛争解決(ISDS)条項―の三つの仕掛けが全体として作用して、日本の経済主権を根こそぎ奪うものです。
関税の撤廃は、農産物重要品目をはじめ、国内農業に壊滅的な打撃を与えます。地場産業も被害を受けます。地域経済と地域社会を壊してしまいます。
「非関税障壁」の撤廃は、多国籍大企業の利益を優先して、食の安全、医療、保険・共済、雇用、環境など広い範囲で、国民の暮らしと安全を守る制度を脅かします。
ISDSは、多国籍大企業の利益を進出先の国で守る取り決めです。利益を損なわれたと主張する企業がその国の政府に対して損害賠償を求める訴訟を起こすことができます。現実に、たばこ規制や環境規制を不満とするISDS訴訟さえ起きていて、国際的に批判が高まっています。
政府の規制改革推進会議は最近、「事業者目線」で外国企業に対する規制や行政手続きを簡素化する「行政手続部会」を設置しました。TPPを見越した規制緩和の“司令塔”にほかなりません。
徹底審議を要求
―臨時国会での論戦が注目されますね。
政府・与党は、採決までに必要な時間に通常国会での審議時間を数え入れて、臨時国会での審議を早期に終えたい意向です。そんなことは許せません。徹底審議を要求します。
TPPはそもそも、国会決議に反し、国民にも国会にも情報をひた隠しにして交渉し、大筋合意と署名を強行したものです。
通常国会では、甘利明前TPP担当相は資金疑惑で姿を隠しました。国会の要求でしぶしぶ提出した、甘利氏とフロマン米通商代表部(USTR)の交渉資料は、すべてが「黒塗り」でした。
政府が発表した影響試算は、米については「影響なし」とするなど、とても納得できるものではありません。
情報開示や試算のやり直しなど、国会審議の前提となることが多すぎます。甘利氏の国会招致も必要です。
7月の参議院選挙では、野党と市民の共同が実を結び、TPP反対の参院議員が増えました。臨時国会を前にして、TPPに反対する諸団体や市民グループが「TPPを批准させない全国共同行動」を開始しました。
国会の内外でTPP反対の野党と市民の共同を広げ、また共産党独自にも力を尽くし、徹底審議の上、TPP批准を阻止するよう奮闘します。
聞き手 北川 俊文
写真 小酒井自由