2016年9月27日(火)
稲田防衛相 夫名義で軍需株
5社で計2万2000株
初入閣後に取得か
第3次安倍再改造内閣の新任閣僚の資産公開で、家族分を含めた総資産が最多だった稲田朋美防衛相(衆院福井1区)が、夫名義で防衛装備品を受注する軍需企業5社の株を保有していたことがわかりました。いずれも2012年12月に発足した第2次安倍内閣で行政改革担当相として初入閣したときの資産公開では保有しておらず、それ以降に購入したとみられます。防衛省トップが親族名義の軍需企業株を保有することの是非が問われています。(藤沢忠明)
今回の資産公開によると、稲田氏は夫名義で、神戸製鋼所4万株、みずほフィナンシャルグループ2万株、オリックス1万7000株、東レ6000株など、41銘柄26万株を保有していました。前回、行革担当相時の資産公開では、41銘柄22万1935株でしたが、保有株式の変動がかなりありました。
活発な株売買
これによると、日本電気、昭和電工、日本金銭機械各5000株、大林道路4000株など、10銘柄2万9671株を売却、神戸製鋼所4万株、大日本印刷1000株など、10銘柄6万6000株を新たに購入しています。保有を続けた株31銘柄のうち、みずほフィナンシャルグループ1万株↓2万株、浜松ホトニクス6200株↓1万400株、丸紅8000株↓6000株など、半数を超える19銘柄に増減があり、ひんぱんな株取引をしている実態が浮かび上がってきます。
とりわけ重大なのは、あらたに取得した10銘柄のうち、5銘柄が防衛装備品を受注する軍需企業だということ。内訳は、三菱重工業3000株、川崎重工業6000株、三菱電機2000株、IHI8000株、日立製作所3000株の計2万2000株。いずれも防衛装備品を調達する防衛装備庁によると、14年度の企業別契約金額の上位企業です。(表参照)
安倍自公政権は、稲田氏が行革担当相として在任中の14年4月に新たな防衛装備移転3原則を設け、それまで禁じていた武器輸出を事実上解禁しました。
閣僚の株保有については法的な規制はなく、「大臣規範」(01年1月)で在任中の株取引の自粛を定めています。しかし、国会議員には、国政に関する重要な情報が集中するだけに、国民の疑念をもたれるような株取引をしないことが求められています。
防衛省トップが親族名義で軍需企業株を保有することの是非をどう考えるのか、購入の経緯は―。稲田氏の事務所は本紙の問い合わせに「政党機関紙の質問には回答していません」としました。
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