2016年10月7日(金)
宮城の特区企業 「解禁」前にカキ出荷
県漁協の決定、無視
宮城県が強行した「水産業復興特区」によって漁業権を付与された、石巻市のカキ養殖・加工業者「桃浦かき生産者合同会社」が、宮城県漁協が決めた生食用カキの出荷解禁日を前に出荷を始め、問題になっています。(高橋拓丸)
例年は29日解禁 生育遅れと判断
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「水産業復興特区」は、漁業権を規制緩和し民間企業にも与えるもの。村井嘉浩宮城県知事が提案し、地元漁師たちの強い反対を押し切って強行。2013年から同社に漁業権を認めました。
県は生食用のカキについて、毎年9月29日を出荷解禁日とする指針を出しています。漁協は例年、カキの品質を検査し29日以降で出荷解禁日を決めていました。今年は生育が遅れており29日の出荷は尚早と判断。10月10日に延期すると決定しました。
組合員である「合同会社」にも連絡していましたが、同社は29日から加工・出荷を開始し、各地の店頭に並んでいます。同社は、県漁協の共販制度を利用せず出荷しているため、県の指針で出荷を開始したとしています。
県漁協・かき部会の高橋文生部会長は、生育が不十分なカキが出荷されることによる信頼低下を懸念。「県内450人の生産者と仲買人の同意で決めた解禁日です。それを無視されては浜が成り立たない。県のお墨付き企業なので何をしてもいいなんてことはない。県がしっかり指導してほしい」と話します。
日本共産党の三浦一敏県議は「民間企業の参入が浜の秩序を破壊する、『特区』の弊害が強く表れています。県は設立を推進した立場のため、何もしようとしません。われわれも、この問題を検証しながら『特区』について議会で追及していきます」と話しました。