2016年10月8日(土)
輸入米の影響「ゼロ」の前提崩れる
TPP強行は許されない
畠山和也衆院議員の話
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農林水産省の調査結果は、輸入米の売買同時入札(SBS)において「調整金」が広く常態化していたことを示しました。
ところが、「調整金」の使途は不明確なままです。調査結果が示しているのは、「調整金」を受け取った卸売業者の半数が「さまざまな経費に活用」したということだけです。輸入米の価格を引き下げる道具として使われた可能性は十分にあります。
政府の環太平洋連携協定(TPP)の影響試算の前提は、輸入米と国産米の価格が同水準であり、国が輸入分と同量を買い上げて影響を遮断するため、コメの輸入量が増えても影響は「ゼロ」だというものです。「調整金」はその前提を崩します。
農水省は、公文書の保存期間を理由に直近5年間しか調べず、SBS入札前後の国産米価格の変動が小さかったことなどを根拠に、国産米への影響は確認できなかったとしています。
この時期、国産米の価格は非常に下がっていました。つまり、卸売業者にとって品質の劣るSBS米を購入する動機が低下していた時期だけを調べているのです。
しかも、調査対象にしているのは国産米の全銘柄の平均価格です。SBS米で大きな影響を受けるのは、競合する業務用米です。事実、業務用米を多く作っている青森県などでは、TPPで大きな打撃を受けるとの試算を発表しています。
国産米の価格が下がってきたのは、1995年にコメの輸入を開始して以降です。5年間ではなく、さかのぼった調査がなければ農家の不安や不信は払しょくできません。関係業者を国会に参考人招致するなど徹底した真相究明が必要です。
安倍政権はTPPの影響試算を撤回し、試算をやり直すべきです。ましてや拙速な審議、強行採決など絶対に許されません。根本的には、国内でコメをつくり、消費する条件があるにもかかわらず、外国からコメを輸入する仕組み自体を改める必要があります。