2016年10月10日(月)
NHK日曜討論
小池政策委員長の発言
日本共産党の小池晃政策委員長(書記局長)は9日放送のNHK番組「日曜討論」に出演し、アベノミクスや「働き方改革」、環太平洋連携協定(TPP)などのテーマで、与野党政策責任者と議論を交わしました。
アベノミクス
個人消費は低迷政策の転換を
アベノミクスについて、司会者から「国民に景気回復の実感がないとの声がある」と問われた自民党の茂木敏充政調会長は、「まだ消費が弱い」「国内設備投資になかなか回っていない」と認める一方、「21世紀型の新しいインフラをつくっていきたい」と大型事業推進を表明しました。
小池氏は、企業収益は過去最高となる一方、人件費抑制や社会保障の国民負担増、消費税増税などにより、可処分所得が低下し消費に回っていないとして、「企業収益にもかげりが見えてきているということが非常に深刻だ」と指摘。「リニア新幹線計画などは、『21世紀型』というより従来型の大型開発だ。つけを国民に回すことになりかねない」と批判しました。
民進党の大串博志政調会長は「企業の内部留保は3年間で80兆円も積み増しされ、(恩恵は)国民に届いていない」「政策を大胆に転換していくべきだ」と求めました。
小池氏は、アベノミクスの「第一の矢」の「異次元金融緩和」が破たんしたと指摘し、「日銀が国債やETF(上場投資信託)を買い、年金基金も30兆円を株につぎ込んで、(株式)時価総額の1割近くを公的マネーがもっている。財政規律が緩み、非常に危険だ。こんな異常なやり方を続けていいはずがない」と転換を求めました。
「働き方改革」
残業時間上限を 残業代ゼロ法案撤回せよ
「働き方改革」にテーマが移り、自民・茂木氏は「長時間労働の是正」や、労使が協定を結べば法定の時間を超えて残業させることができる「三六協定」に言及。小池氏は「企業の立場に立った“働かせ方改革”になってはいけない。やるべきことと、やってはならないことがある」と二つの問題で与党の見解をただしました。
一つは、日本では残業時間の上限が労働基準法に書き込まれていない問題です。「大臣告示では年間残業は360時間以内であり、これを労働基準法にきちんと書き込むのか」と質問しました。
さらに、過労死基準の月80時間を超えて上限なく残業させることができる「三六協定」の特別条項を廃止すべきだと要求。その上で、「残業代ゼロ」法案について「長時間労働の温床となっている裁量労働制も拡大する」などと告発し、「労働時間を短縮する『働き方改革』の議論をしているときに、先に国会でそれとは違う法案を通すというのは矛盾だ」と指摘し、今国会での採決断念と法案の撤回を迫りました。
自民・茂木氏は「(残業時間の上限を)法律で決めるべきだ」「(三六協定は)労使で協定を結んでも、(国が法的な)上限を決めたい」と回答。しかし、「残業代ゼロ」法案は「多様な働き方を認める」などと正当化しました。
民進・大串氏は野党が共同提出した長時間労働規制法案を今国会で審議・成立させるよう求めました。
TPP
価格偽装解明を強行採決やめよ
最後にテーマとなったのが、TPPをめぐる「売買同時入札」(SBS)米の価格偽装問題です。農林水産省が7日に公表した調査結果で、米取引業者が輸入米を安くするために使ったとされる「調整金」の存在を認めつつ、国産米への影響は「確認できなかった」と結論付けたことについて、民進・大串氏は「(国産米の価格に影響があったかを農水省は)調べていない」「拙速な議論、強行的な国会運営は絶対あってはいけない」と述べました。
小池氏は、調査結果で買受業者の4割、輸入業者の7割が金銭のやりとりを認めたとする一方、受け取った金銭の使途を「さまざまな経費に活用」としていることを挙げ、「これでは納得できるわけがない。調査に値しない」と厳しく批判。「報道によれば、商社の方は“外国産米は人気がないので調整金で安くしないと買い手がつかない”と言っている。これが実態だ」と述べました。
小池氏は、政府のTPP影響試算の前提が崩れたとして「議論を最初からやり直すことは当然だ」と述べ、国会に関係者を招致して徹底解明するよう要求。さらに米大統領選候補が「反対」表明するもとで、カナダやニュージーランドが国民の意見公募(パブリックコメント)を実施し、ベトナムも国会での批准を見送っているなど、参加各国が米国の動向を見極めようとしているとして、「なぜ日本が前のめりになるのか」と指摘しました。
一方で、2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」については、日本政府が出遅れて孤立していると批判し、日本の農業を壊し、経済主権を多国籍企業に売り渡すTPPの強行採決は許されないと述べました。