2016年10月12日(水)
主張
TPP阻止集会
批准許さない世論の総括集を
臨時国会で環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案の審議が再開されようとしています。安倍晋三政権がアメリカなどに大幅譲歩し、TPPについての大筋合意を発表してから1年―。農業をはじめ日本経済と国民の暮らしを破壊するTPPは許さないと、多くの農業団体や労働組合、消費者団体、市民団体などが5日から、「TPPの批准を許さない!全国共同行動」を始めました。15日には東京・芝公園で1万人規模の集会を呼び掛けています。
政府説明の前提は崩れた
今週中にも衆院TPP特別委員会での審議再開を狙う安倍政権は先週末、TPPについての閣僚会議を開き、TPP承認案と関連法案の早期承認・成立の方針を改めて確認しました。安倍政権は大筋合意以来のこの1年、合意の全容は明らかにせず、国会にも交渉経過を明らかにしない「黒塗り」の資料と日本の国内総生産(GDP)は大幅に増えるが農業への影響は軽微などという都合のよい「試算」を示すだけで、承認を押し切ろうとしてきました。そのごまかしが次々明らかになっています。
最近も、日本が「ミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)」米として輸入を続けてきたコメのうち、食用になる「SBS(売買同時入札方式)」米について、輸入商社が卸業者に「調整金」を払うことで国産米価格より安く流通させていた疑いが浮上し、TPPによるコメの輸入拡大で国産米への影響はないとしてきた政府「試算」のでたらめさが明らかになりました。政府は国産米への影響は確認できなかったとしていますが、疑問が明らかになった以上、誤った前提の「試算」は撤回すべきです。
TPPは関税を原則撤廃し、サービスなどの取引も自由化するだけでなく、多国籍企業が相手国を訴えることができるISD条項による主権侵害やアメリカとの2国間協議による日本の大幅譲歩など、国民生活犠牲、国会決議違反の協定です。全体を通じて、日本の農業や医療、労働などあらゆる面で国民生活を脅かし、国の主権を侵害する内容であることが民間のTPP分析チームなどによって証明されています。
調印した各国でも、合意内容が多国籍企業や富裕層に利益を与える一方、労働者・国民に犠牲を押し付け、主権まで侵害されると多くの市民・国民が反対しており、批准を急ぐ国はありません。にもかかわらず安倍政権が急ぐのは、2人の候補が反対を明言するアメリカ大統領選挙の投票前に衆院を通過させることで、アメリカの批准を促すためです。審議再開前から自民党のTPP特別委員会理事が「強行採決」を口にし、辞任せざるを得なかったのも、まず批准ありきの、安倍政権の異常な姿勢を示したものです。
審議急ぐな、の声も集め
「TPPの批准を許さない!全国共同行動」は、毎週水曜日の国会行動とともに、全国各地での宣伝・集会、与党議員への働きかけ、批准反対の緊急署名を呼び掛けています。15日の1万人行動はその結節点です。
全国津々浦々でTPP反対の行動を広げ、TPPはよくわからない、まだ批准を急ぐ必要はないという人々も含め、批准阻止の世論を急速に高め、臨時国会での批准を何としても阻止しましょう。