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2016年10月13日(木)

論戦ハイライト

残業時間に上限規制設けよ

衆院予算委 高橋議員

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表:過労死等の時間外労働時間数別支給決定件数/過労死の請求件数の多い職種

 日本共産党の高橋千鶴子議員は12日の衆院予算委員会で、過労死根絶・長時間労働の是正に向けて、「働き方改革」を掲げる政府の姿勢をただしました。

 高橋氏は、7日に厚労省が出した「過労死白書」で長時間労働の実態が明らかになったとして「過労死防止対策推進法で設けられた法制上・財政上の措置が必要な事態だ」と指摘。安倍晋三首相に「『働き方改革』で過労死をなくすことができるのか」と問いました。

 安倍首相は「『働き方改革』によって長時間労働が是正される。過労死を防ぐことにつながる」と答えました。

 高橋氏は、昨年、大手広告代理店・電通の新入社員=当時(24)=が過労自殺し、労災認定された事例を取り上げ、「電通は1991年にも社員が自殺し、最高裁判決まで出ている。25年たっても変わっていない」と批判。塩崎恭久厚労相は「11日に、東京労働局長が企業幹部を呼び出し、労働時間管理の適正化・実効ある過重労働対策を取るよう厳しく指導した」と明らかにしました。

 高橋氏は、日本共産党は残業時間の目安を定めている大臣告示を法定化するよう求めているとし、残業時間の法的規制に踏み出すべきだと迫りました。

 高橋 「働き方改革」をうたうなら、残業時間に上限規制を設けるべきだ。

 首相 「働き方改革実現会議」で、上限規制のありかたを含めて議論する。

 高橋 なぜ規制を明言できないのか。「働き方改革」の中身が透けて見えるようだ。

 高橋氏は、残業時間の労使協定である「三六協定」の特別条項を結べば「残業時間が青天井になっている」と追及。「『特別延長時間』が長いほど、残業時間の実績も長くなっている」と強調し、上限規制を迫りました。

 塩崎恭久厚労相は「協定の実効性が問われているのは事実だ」と認めながらも「実効性ある対策をまとめたい」と述べるだけでした。

 残業時間の限度基準を定めた厚労大臣告示は、(1)工作物の建設等の事業(2)自動車の運転業務(3)新技術、新商品等の研究開発の業務(4)労働基準局長が指定する事業・業務―を「適用除外」としています。厚労省は高橋氏の質問に、このうち建設業、自動車運転業務の従事者だけでも計565万人と、全労働者の1割超に上ることを明らかにしました。

 高橋氏は、この2職種は過労死等の請求件数の多い職種1位(自動車運転)と3位(建設業)であることを指摘。2位の営業職は「残業代ゼロ法案」で裁量労働制が適用されることになると述べ、「時間外労働の上限を決めようと言いながら、規制の対象から外す業種・職種を増やそうとしている。『長時間労働規制』の看板に偽りありだ」と批判しました。

適用外す公益上の必要なし

 高橋氏は「『働き方改革』の看板に偽りありの象徴的な問題」として、原発労働者の残業規制が外された問題を取り上げました。厚労省は2013年、労働基準局長通達で原発再稼働に向けた審査に関する業務を「公益上の必要がある」として、残業時間の限度基準を適用除外にしました。

 高橋 この通達を知っていたか。

 厚労相 今朝ほど、事務方から説明を受けて把握した。

 世耕弘成経産相 厚労省から相談を受けた事実はない。

 田中俊一原子力規制委員長 厚労省から相談を受けた事実はない。

 高橋 大臣にも全く相談なく、部局だけでこの通達を出したことが判明した。非常に重大だ。

 さらに高橋氏は、適用除外は「どこかから要望されたのか」とただしました。

 厚労相 電力会社から要望があって、当時の労働基準局長が通達を発出した。

 高橋 どこか。

 厚労相 九州電力だ。

 高橋 申請から早くて3年。これだけの長期に残業時間規制を取り払えばどうなるか。過労死ラインまで残業して再稼働審査に間に合わせることがなぜ公益なのか。これが認められれば、うちだってとなるのは目に見えている。一片の通達で許されるのか。

 ざわめく委員会室。高橋氏は、安倍首相に対し、「『残業時間の規制を外してまで急げ』というのはおかしい。労働者に無理をさせることは、安全作業の確実性も問われる」と追及しました。

 安倍首相は「公益上の必要性、集中作業が必要とされるかの条件に合い、労働基準局長が指定するものを限定的に認めている」と述べるにとどまりました。

 高橋氏は「労働の生産性を上げるのも労働者を大切にしてこそだ。きちんとルールを守ってこそ、企業のイメージもアップする」と強調しました。


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