2016年10月19日(水)
労働時間切り捨て 違法
セブン―イレブンに行政指導
「15分」→「1分」単位に変更
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コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパンの本部(東京都千代田区)が、独自の勤務管理システムで店員の労働時間を15分単位で切り捨てていた問題で、行政から指導を受けていたことが18日までに分かりました。加盟店オーナーに対して、労働時間は1分単位で計算する必要があり、切り捨てることは違法だと説明しています。きっかけは、日本共産党の辰巳孝太郎参院議員の国会追及でした。
辰巳参院議員の追及実る
セブン―イレブンの「ストアコンピュータ(SC)」は、出退勤の際にバーコードをコンピューターにかざすと1分単位の正確な時刻が表示されるのに、15分未満を切り捨てた「始業時刻」「終業時刻」が記録されるようになっていました。
セブン―イレブン本部が加盟店オーナーにあてた8月23日付文書「従業員給与システムの変更について」には、「行政からの要請を踏まえシステム変更を行います」と、行政指導があったことを明らかにしています。
システムの手引には、「賃金は労働時間に応じて支払うことが原則であり、その労働時間は1分単位で管理することが必要です」「15分単位で計算することで労働時間を切り捨てることは違法とされますので注意しなければなりません」と記述されました。また通達には、シフト時間前後の着替えや朝礼、片付けも勤務時間に含まれることが説明されています。
セブン―イレブン本部の広報は、本紙の問い合わせに「指導というか指摘を受けたのは事実です。これまでもシステム上、1分単位で登録できたが、集計計算まで含めてできるよう変更した」と答えています。
ただし、管理システムは、1分単位か15分単位かを加盟店オーナーが選択するものになっています。
関東のある加盟店オーナーは、「この間、最低賃金も徐々に引き上げられているが、それに対応したロイヤリティー(上納金)の契約改定は行われておらず、人件費が増えた分、オーナーの手元に残る生活費が減っている。1分単位にするにあたって、本部、加盟店オーナー、店員、お客様の全員が喜べる対応を本部にお願いしたい」と指摘しました。
辰巳孝太郎参院議員は3月28日の国会質問で、セブン―イレブン本部が「効率的な業務を実現するため、就労は15分単位を基本」として労働時間を切り捨てていると告発しました。
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塩崎恭久厚労相は「指揮命令下におかれた時間の切り捨てや、賃金や割増賃金の不払いが生じている場合は労働基準法違反になる。こういう事例であれば指導しなければならない」と答え、安倍晋三首相は「業界団体に対する法令順守の要請、企業に対する労働基準監督署の監督指導の徹底に取り組む」と答弁していました。
抜本改善を求めていく
辰巳孝太郎参院議員の話 今回の通達は一歩前進です。管理システムで15分単位を選択したとしても、実際に1分単位での勤務が発生した場合は、法令どおり1分単位で賃金を支払う必要があります。店舗オーナーは不公正な契約やコンビニ独自の会計システムなどで本部に搾取されており、抜本改善を国会でも引き続き求めていきます。