2016年10月21日(金)
パリ協定承認案に対する
参院本会議 倉林議員の質問
日本共産党の倉林明子議員が19日の参院本会議で行った、パリ協定承認案の質問(要旨)は次の通りです。
パリ協定の早期締結に向けた動きは加速し、温室効果ガス最大排出国である中国、アメリカを皮切りにインド、EU(欧州連合)など12日現在、76カ国が締結、総排出量が約59・9%となり、発効要件である55カ国、総排出量の55%をクリアし、日本抜きの11月4日発効が確定的となりました。こうした世界の流れを理解せず、承認案の提出が大幅に遅れた政府の責任は極めて重大です。
総理は今国会冒頭の所信表明演説で、パリ協定に一言も触れませんでした。EU全体での批准手続きは不可能と見込んで、年内発効を想定していなかったのではありませんか。臨時国会ではTPP(環太平洋連携協定)を優先し、パリ協定の承認は後回しでよいとの判断があったのではありませんか。
結果として、11月7日からモロッコで開催されるCOP22に日本は締約国として参加できない事態となりました。批准していない日本は、詳細ルールを確定する議論に参加できても決定権を持てない可能性は否定できません。締約が間に合わなかった日本は気候変動の取り組みに消極的だということを世界に示すことになるのは明らかです。
世界第5位の温室効果ガス排出国の日本には、パリ協定の合意を踏まえ、脱炭素化に向けた長期戦略を明確にし、実践していく責任があります。
2030年度の温室効果ガス削減目標は、2013年度比26%にとどまっています。1990年の基準年と比較すればわずか18%程度の削減にすぎず、目標は低すぎます。目標を直ちに見直し、大幅に削減目標を引き上げるべきです。
日本では、福島第1原発事故後、石炭火力発電所の新増設が進んでいます。環境NGOである気候ネットワークが、現在把握している新規の建設予定は、計48基、計2284・6万キロワットに上っています。さらにアセスが不要な11・25万キロワット未満の小規模な石炭火力発電所は、全容をつかむ体制もなく、効率の悪い発電所も少なくありません。「脱炭素化」というパリ協定の合意に逆行する石炭火力発電所の新増設はただちに中止すべきです。
政府は原発を、40年超えた老朽原発も含めて、使い続けるとしています。福島原発事故以前、原発の設備容量は増え続けてきたものの、石炭火力と表裏一体であり、温室効果ガスは減りませんでした。ところが、稼働している原発がなかった2014年度は温室効果ガスが前年より減少したのです。福島第1原発事故をおこした日本こそ、原子力発電に頼らない温暖化対策の道を進むべきです。
日本政府は2014年エネルギー基本計画を策定し、原発と石炭火力を「ベースロード電源」と位置づけ、2030年の電源構成は原発が20〜22%、石炭火力は26%としました。このエネルギー基本計画そのものが、パリ協定と両立しないことは明らかです。
政府はエネルギー基本計画を撤回し、“原発は直ちにゼロ”を決断すること、石炭火力発電所の新増設を中止させること、再生可能エネルギーの飛躍的な導入拡大へかじを切るべきです。