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2016年10月27日(木)

主張

東京電力「改革」案

経営最優先で安全は後回しか

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 東日本大震災で福島第1原発が大事故を起こした東京電力について、経済産業省の有識者会議が検討してきた「改革」案が浮上してきました。東京電力が保有する福島原発以外の原発を別会社に「分社化」するのが目玉で、新潟県にある世界最大の原発、柏崎刈羽原発の再稼働が前提です。福島第1原発事故の除染や廃炉の費用が巨額に上ることが背景で、国民の負担が増やされる危険もあります。東電の経営を最優先にして、国民の安全や安心を後回しにする問題の多い「改革」案です。

柏崎刈羽原発を再稼働し

 柏崎刈羽原発が立地する新潟県民は先日の知事選で、原発再稼働に「ノー」を主張してきた米山隆一氏を知事に選びました。米山氏は25日の就任会見でも「県民のいのち、暮らしが守られない現状で原発再稼働は認められない」と明言しています。原発再稼働を前提にした安倍晋三政権の東電「改革」案は、こうした県民の世論に応えるものではありません。

 東京電力は福島第1原発事故の後、除染や賠償、廃炉などの費用が予想をはるかに超えて膨らみ、政府がたびたび援助してきたのに経営再建の見通しが立たない状態です。経産省はこのまま放置したのでは東電が法的整理に追い込まれるなどとして、今年秋以来、有識者会議「東京電力改革・1F(福島第1原発)問題委員会」を設置して「改革」案の検討を進めてきました。25日の第2回委員会までに浮上したのが原発部門の分社化案です。

 東電はすでに持ち株会社の東京電力ホールディングスに移行し、本社が原発などの発電事業などを行うとともに、送配電や小売り、火力発電などは分社化しています。今回の「改革」案は東電ホールディングスの事業からさらに福島原発以外の原発を分社化し、柏崎刈羽原発の再稼働などでもうけを確保しようというものです。

 柏崎刈羽原発は、これまで再稼働した各電力会社の原発と違い、事故を起こした福島原発と同じ型の原発で、過去にも中越沖地震などで地盤が液状化、大きな事故を起こしたことがあります。米山新知事をはじめ地元も反対しているのに、再稼働を前提に「改革」案を検討するなど、まさに経営優先、安全後回しの極みです。再稼働を前提にするのはやめるべきです。

 経産省の試算では、福島第1原発の廃炉に必要な資金だけでも、現在の年800億円が、原子炉内で溶けだした核燃料(デブリ)を取り出す作業が本格化する今後は「数千億円程度」に膨らむ見込みです。廃炉の作業は長期間かかり、総額では10兆円をはるかに超すとみられています。除染や賠償の資金を含め、原発が安上がりのエネルギーでないのは明白です。

再稼働断念し事故対策を

 いま東電に求められるのは、福島原発事故の原因究明とともに、除染や賠償、廃炉などの作業に全力を挙げることであり、柏崎刈羽原発の再稼働は断念し、それに要する資金や労働者を福島原発の事故処理に振り向けるべきです。

 福島原発も柏崎刈羽原発も停止していても、東電管内でも全国でも電力不足は起きていません。安倍政権も原発再稼働に固執するのではなく、再生可能エネルギーの利用拡大を含め、東電にその責任を果たさせるべきです。


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