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2016年10月28日(金)

TPP批准強行は許されない―徹底審議は国会の責務

志位委員長の会見

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 日本共産党の志位和夫委員長は27日の国会内での記者会見で、政府・与党が今国会で成立を狙う環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案について、次のように述べました。

 政府・与党は、TPP協定の承認案・関連法案を今国会でしゃにむに強行をはかる姿勢です。徹底審議で協定の全容と問題点を国民に明らかにすることが国会の責務となっております。

 日本共産党は、徹底審議で問題点を解明し、国民の運動と力をあわせて、TPP協定の承認案・関連法案の成立阻止のために奮闘します。

 三つの大きな問題点について強調したいと思います。

1.国会審議の前提を欠いたままの審議

 「国民に丁寧に説明する」と言いながら、8400ページを超える協定関連文書の和訳が2400ページ分にとどまっています。公表された交渉経過資料は表題以外はすべて黒塗りという、極めて不誠実な対応となっています。しかも、協定文書などの和訳に18カ所の誤訳が明らかになりました。全文書の和訳を責任をもって提出すべきです。

 交渉の直接の担当者だった甘利(明)前大臣は、口利き疑惑で辞任しましたが、その後も説明責任を放棄しています。甘利前大臣のもとで秘密裏に進めてきた内容を含めた交渉の全経過の情報開示が必要です。

 輸入米価格偽装問題が9月に発覚しました。政府の調査結果では、輸入米が国産米価を押し下げている状況にはないと結論づけましたが、日本農業新聞(24日付)の独自調査では、回答したすべての商社が、輸入米は「国産米よりも2割安」と回答するなど、国の見解との食い違いが明らかになっています。政府は影響試算で、「主食用の輸入米が増えても、輸入米価格は国産米と同水準のため、コメへの影響はゼロだ」としてきましたが、「影響試算」の前提を揺るがす大問題になっています。

2.協定そのものの本格的審議はこれから

 通常国会、臨時国会での審議は、いま述べた「審議の前提問題」が議論の焦点となり、協定そのものの審議はこれからです。にもかかわらず、度重なる「強行採決」発言が行われ、政府・与党が強行姿勢をとっていることは言語道断です。

 国民の7割が慎重審議を求めています(9月17、18両日実施の共同通信世論調査)。協定の内容を明らかにする国会での徹底した審議こそ求められています。

 通常国会での審議入りにあたっての4月5日付の「衆議院TPP特別委員会開催に関する合意事項」に基づいて、「日米集中、ルール分野別集中、経済・金融集中」など「テーマによる集中審議」、参考人質疑、中央・地方公聴会の開催など、徹底審議が必要です。

3.TPP協定の全容解明―明らかにすべき重要問題

 協定そのものの全容解明という点では、少なくとも以下の諸点を国民の前で徹底的に明らかにする審議が必要です。

農産物の関税撤廃の問題

 農産物の関税撤廃の問題は、明白な「国会決議」違反です。「聖域」とされた重要農産物5項目のうち、3割の品目で農産物の関税が撤廃され、残り7割の農産物でも関税率の引き下げなどが行われ、「無傷」な品目は一つもないことが明らかになりました。さらに、協定発効7年後の再協議規定で、関税撤廃に向けた協議が約束させられています。

「非関税措置の撤廃」の問題

 この協定では、あらゆる分野が規制緩和の対象となり、緩和された規制をもとに戻せない仕組みがつくられようとしています。進出する多国籍企業の利益を保障し、国民の暮らしや権利が全分野で侵害されます。

 ――「食の安全」。遺伝子組み換え作物や輸入食品の急増で「食の安全」が脅かされます。

 ――「医療制度と薬価」。日米2国間の交換文書では、国民皆保険制度(将来の保険制度)の協議を確約しています。国民皆保険制度が崩される危険があります。米国の製薬企業が薬価決定に影響を及ぼし、安価な薬の供給が減り、薬価が高止まりする懸念があります。

 ――「金融・保険」。日本郵政における保険商品の販売など、すでに米国の要求に応えた改変が進められていますが、TPP協定をてこに、継続的に金融・保険の分野で米国の利害関係者が日本に要求できる仕組みがつくられようとしています。

 ――「政府調達(物品、サービス)」。公共事業や地域経済が外資に開放されます。労働分野での賃金低下、非正規雇用の増加、労働条件の悪化がもたらされます。地方自治体が中小企業支援のために定めた「中小企業振興基本条例」や「公契約条例」が規定できなくなる可能性があります。

 ――「知的財産」。米国流の著作権ビジネス化が進む恐れがあります。

「ISDS条項」

 多国籍企業や投資家が損害を受けたとして、投資先の国を訴えることができる仕組みが盛り込まれることは極めて重大です。経済主権を侵害して多国籍企業による支配をもたらすことになります。

「再交渉」を迫る仕組み

 TPP発効直後から各種委員会がつくられ、日本に「再交渉」を迫る仕組みもつくられようとしています。

 これらの諸点の徹底的な究明が必要です。

 国会審議の前提を欠いているという点でも、協定そのものの本格的審議はこれからという点でも、その内容として「関税撤廃」「非関税障壁の撤廃」「ISDS条項」「再交渉の仕組み」など膨大な内容が究明されなければならないという点でも、採決の強行などはまったく論外のことです。徹底審議という国会の責務を果たすことを強く求めるものです。


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