2016年10月29日(土)
TPPで検疫骨抜き
斉藤氏追及 通関時間を短縮
衆院特委
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日本共産党の斉藤和子議員は28日の衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、TPPに検疫体制を骨抜きにする条項が入っているとして、「国民の生命、日本の農林水産業への重大な脅威だ」と批判しました。
TPPには、物品到着から48時間以内に輸入許可を出すことが盛り込まれています。木原稔財務副大臣は斉藤氏に対し、日本が結んできた貿易協定で通関期限を定めた例がなく、2015年の輸入手続き所要時間の平均が動植物検疫や食品検疫対象貨物では85・6時間に上ることを明らかにしました。
「48時間を超えてもTPP協定に違反しない」(古屋範子厚生労働副大臣)と言い訳する政府に、斉藤氏は「日本が守らなくていいと言っても、48時間でやらなくていいのかと言われることはある」と強調。厚労省が輸入食品の検査緩和を検討しているのではとただすと、古屋氏も検討中と認めました。
斉藤氏は、TPPでは物品の危険度に応じた管理手法が明記されているが、検査前に危険度は分からないと指摘。「無検査で輸入したら、ウイルスや有害動植物の侵入を許すことになりかねない」と批判しました。
斉藤氏はまた、TPPによって食品表示が米国基準に置き換えられる危険を指摘。日本では遺伝子組み換え食品は容器包装への表示が義務付けられる一方、米国の「遺伝子組み換え食品表示法」はQRコードやバーコードによる表示を認めており、消費者はインターネットに接続しなければ内容を確認できません。
斉藤氏は、日本の基準がTPPでは「非関税障壁」とされる恐れがあるとし、「表示は国民の選ぶ権利にかかわる。非関税障壁を全て撤廃するというTPPそのものが問題だ」と強調しました。