2016年11月1日(火)
論戦ハイライト
日本の公定薬価にも米企業口出す仕組み
衆院TPP特 畠山議員が追及
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環太平洋連携協定(TPP)では、米国製薬企業が日本の薬価算定に介入・口出しする仕組みが盛り込まれている―。日本共産党の畠山和也議員は31日の衆院TPP特別委員会で、公定価格とされている日本の薬価制度がTPPによって掘り崩される危険性があることを明らかにしました。
日本と米国の薬価算定方法には大きな違いがあります。日本では政府が薬価の算定に関与する「公定価格」となっているのに対し、米国では製薬企業と保険会社の協議で決まる「自由価格」となっています。
首相答えられず
畠山氏は、米国製薬企業は、予測よりも大幅に市場が拡大した医薬品の価格を引き下げる「市場拡大再算定ルール」など日本の薬価制度を目の敵にしてきたことを指摘。TPP協定に関する日米2国間の交換文書(サイドレター)では「外国の関係者を含むすべての利害関係者に対して、…審議会等の会合を傍聴し、または審議会等の会合に出席し、もしくは意見書を提出することを認めること」が約束されており、日本の薬価算定への米国製薬企業の介入が定められていることを示して、次のようにただしました。
畠山 日本の薬価制度も「透明性」の名のもとに米国のルールに合わせよ、ということになっているのではないか。
塩崎恭久厚労相 (サイドレターは)法的拘束力があるわけではない。
畠山氏は「サイドレターはTPP協定26章を受けたものだ」と指摘。26章2条4には、規制の案に対し、製薬企業が事前にものがいえる仕組みが定められているとして、「サイドレターを見ても、協定本文を見ても、米国製薬企業が日本の薬価・公定価格に対して、どんどん口出しし、介入して変えていくことになっている」と追及しました。安倍晋三首相は「米国から要求されても、わが国の薬価を決める今の仕組みを変える考えはない」というだけで、まともに答えられませんでした。
米国が強い要望
さらに、畠山氏は、TPP協定25章には、規制の整合性の判断についても利害関係者が関与できる仕掛けが盛り込まれていることを指摘。条文には、規制の整合性の判断の対象範囲さえ設けられておらず、日本の薬価制度も含まれかねないことをただしました。
畠山 国内の規制のうち、どこまでを範囲と定めているのか。
石原伸晃TPP担当相 詳細は各国の動向を見極めて決定していく。
畠山 薬価を決める仕組みまで規制が外される対象となるのか。
担当相 具体的にどこまでとは決まっていない。
畠山 どの範囲までかを決めずに批准していいはずがない。フリーハンドで政府に任せろということか。
畠山氏は、TPP交渉を通じて、米国から強い要望を出していたのは製薬企業だったことを指摘。TPPは発効後も、絶えず見直し作業が行われる“生きた協定”となっていることも示し、「現制度が維持されても将来の保証はない。多国籍企業が薬価制度に介入して変更を迫り、国民の命にまで影響を与えるTPPは到底、認められない」と強調しました。