2016年11月3日(木)
検証 政治とカネ
暴言連発の山本農水相
一夜で2000万円荒稼ぎ談合企業から献金も
大臣の適格性問われる
「こないだ冗談を言ったらクビになりそうになった」―。農業や食の問題を所管する立場にありながら環太平洋連携協定(TPP)承認案をめぐって暴言を繰り返している山本有二農水相(衆院高知2区)の「政治とカネ」が国会で問題になっています。
(藤沢忠明)
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一つは、談合企業からの献金です。
山本氏の地元、高知県内では、2012年10月、国土交通省と高知県が発注した工事をめぐって、大規模な官製談合が発覚しました。
本紙は、この事件で指名停止、課徴金納付命令を受けた企業から、山本氏が代表を務める「自民党高知県第3選挙区支部」(13年まで、現在は同第2選挙区支部)が、09〜11年の3年間で談合企業から計224万円の献金を受け取っていたことを報じました。(13年2月28日付)
6年で444万円
今回、10月28日の衆院TPP特別委員会で、山本氏が民進党議員の追及に認めたのは、談合事件で1423万円の課徴金納付命令を受けた高知県四万十町の建設会社の役員から12〜14年で計220万円の献金を受け取っていたというもの。山本氏は「道義的見地から返金する手続きをとっている」と答えましたが、談合企業からの献金は6年間で444万円にのぼります。
二つは、大臣規範に違反した政治資金パーティーの開催です。
山本氏は、10月26日夜、都内で資金集めパーティーを開きました。この日は、衆院TPP特の地方公聴会が北海道と宮崎県で開かれ、参考人から「農業に打撃、食の安全に不安」とTPPごり押し姿勢に批判と懸念が噴出したばかり。
自粛はどこへ
山本氏は、このパーティーについて、10月28日の同特別委員会で、「定例的に年に1度開いているもの」と悪びれた様子もありません。山本氏の公設第1秘書が会計責任者を務める政治団体「自由政策懇話会」の政治資金収支報告書によると、たしかに毎年秋に東京・芝公園の高級ホテルで「衆議院議員山本有二と国政を語る会」を開催、12年=2314万円、13年=2536万円、14年=2142万円と、一晩で2000万円以上を稼いでいます。
12〜14年の“実績”からすると、26日夜のパーティーも「大規模な政治資金パーティーの自粛」などを定めた大臣規範に違反したパーティーだったことは明らかです。
山本氏は、06年9月に発足した第1次安倍内閣で金融相として初入閣しましたが、このときも、同年10月、大規模パーティーを開催し、問題になったことがあります。「パーティー自粛」はどこへいったのか。
三つは、輸入米価格偽装が大問題になっているさなか、農水省の調査対象となった米穀卸売業者に過去に1件、パーティー券を購入してもらっていたことを、10月28日の衆院TPP特でみずから明らかにしたことです。
山本氏は「道義的な意味において問題はない」としましたが、金額や時期などには言及しませんでした。輸入米価格偽装は、TPP審議の前提を揺るがす問題だけに、あいまいにすませるわけにはいきません。暴言問題といい、農水相の適格性が問われています。