2016年11月10日(木)
過労死防止対策シンポ
国民の命守る日本に
過労自殺の高橋さんの母が訴え
過労死防止対策シンポジウムが9日、東京都内で開かれ、長時間労働の末に過労自殺した電通の新入社員、高橋まつりさん=当時(24)=の母、幸美さんが登壇し、最愛の娘を失った無念な思いと過労死根絶を訴えました。
幸美さんは、まつりさんが昨年10月、「今週10時間しか寝ていない、会社辞めたい」と話し、1991年の電通若手社員の過労自殺記事にふれ「こうなりそう」と漏らしていたことを紹介。自殺直前の12月、「大好きで大切な母さん、さようならありがとう。人生も仕事もすべて辛いです。お母さん自分を責めないでね。最高のお母さんだから」とメールが送られてきたことを明かし、声を詰まらせました。
幸美さんは「社員を犠牲にして優良企業といえるのか」と述べ、「経営者は大切な人の命を預かっているという責任をもって本気で改革に取り組んでほしい」と強調。政府に対して「ワークシェアや三六協定(残業時間の労使協定)の改革、インターバル制度(休息時間保障)の導入を望みます。国民の命を犠牲にした経済成長第一主義ではなく、国民の大切な命を守る日本に変えてくれることを望みます」と訴えました。
シンポでは、伍賀一道・金沢大名誉教授、北里大医学部の堤明純教授が講演。遺族や弁護士が「命をかけた問いかけに応えるのは私たちの責任です」(夫を亡くした前川珠子さん)と訴えました。
シンポは、遺族らの運動で制定された過労死防止対策推進法に基づき厚労省が主催。遺族・弁護士の協力で全国43カ所で開かれます。