2016年11月11日(金)
主張
TPP衆院通過
暴挙に暴挙を重ねた大暴走だ
「強行採決」をけしかけ、自ら陳謝した発言を「冗談」で済まそうとした山本有二農水相の責任を不問にし、衆院議長や議運委員長でさえ問題と認めた国会のルール無視の衆院TPP特別委員会の強行開会と環太平洋連携協定(TPP)承認案などの強行採決をそのまま認め、自民・公明の与党が衆院本会議の開会を強行、TPP承認案などを賛成多数で押し通しました。文字通り暴挙に暴挙を重ねる大暴走です。日本共産党など野党4党が山本農水相の不信任決議案を提出し、TPP承認案などの徹底審議を求め、承認案などに反対したのは当然です。
山本農水相の辞任が先決
行政府の大臣が立法府に「強行採決」をけしかけ、しかもそれを「冗談」などとちゃかしてごまかそうとした山本農水相の発言が、大臣としての資格を欠くものなのは明らかです。山本氏は、「冗談」とのべたあいさつ(1日)では「農林省に来てもらえばいいことがあるかもしれない」と利益誘導まがいの発言までしています。公人としての資質に欠けることも明白です。山本農水相の辞任こそ先決すべき大問題です。
ところが野党がそろって山本氏に辞任を求めているさなかに、自民、公明の与党は先週末の4日、本会議開会について話し合いが行われていたにもかかわらず、TPP特別委の開会を強行し、賛成議員だけでTPP承認案などの採決を強行したのです。佐藤勉衆院議運委員長も「国会に20年いるが初めての経験。こんなことがまかり通れば議運はいらない」とルール無視を批判し、大島理森衆院議長も「平穏な状況のもとでの採決ではない」といわなければならないほど異常なものです。
山本氏は自民、公明などが開会を強行した委員会などで「冗談」発言は撤回したものの、自ら辞任しようとはしません。山本氏が辞任しないなら任命権者の安倍首相が罷免すべきなのにそれもしません。与党が山本氏の責任をあいまいにして、不当な強行採決を元に戻す措置も取らず、本会議の開会を強行、TPP承認案などを採決しようとしたのは、山本氏をかばい、議会制民主主義を破壊するルール無視の強行採決を免罪する以外の何物でもありません。
TPP承認案などの審議は委員会や本会議での採決どころかいまだ道半ばで、徹底審議で解明すべき問題は山積しています。衆参の農林水産委員会はTPP交渉への参加にあたって農産物「重要5項目」の除外や情報公開などを決めていますが、こうした決議に違反するかさえ安倍首相は「国会で判断を」というだけです。国会決議違反の協定を承認するなどというのは国会の自殺行為になります。
発効困難の見方広がる中
だいたい安倍首相は8日の米大統領選の投票までに日本が批准し、アメリカの批准を促進するといいましたが、大統領に当選したトランプ氏はTPPからの撤退発言を繰り返し、オバマ大統領の任期中の批准も見通しがなくなっています。日本が批准してもアメリカが批准しなければ発効しないTPPを急ぐ道理はありません。
山本氏の発言問題やTPPの重大な内容は衆院通過後も参院でも徹底審議すべきものです。徹底審議のうえ廃案に追い込むために力を合わせようではありませんか。